キャリア・教育

2022.08.30 07:00

脳科学が解明した仕事における不確実性の影響とその対処法

3. 自分がコントロールできることに集中しよう。不安な待機期間中には、自分でなんとかなることや、幸せを感じられるちょっとした逃げ場を探してみよう。ガーデニングを行う、良い小説を読む、友人を招いて持ち寄り形式の夕食をとる、テレビでコメディを見るなど、自分に喜びを与えてくれる小さな楽しみに没頭してみるのだ。

4. 堂々巡りはやめよう。心配することは準備することにならない。困っている人のために何かをしてあげることも、自分の心配ごとを忘れさせてくれる力強い行動となる。自ら行動を起こせば、気分が良くなる。研究によれば、他人のために行動すること、特に自分が落胆しているときに行動することは、自分にとって心の健康、心の平安、自己価値の上昇をもたらすことがわかっている。病気の友人を見舞う、貧しい慈善団体でボランティアをする、列に並んでいる人を先に通すなどの無作為に親切な行為をする時間を作ってみよう。

5. 仕事の不確実性を受け入れよう。もし、不確実性が受け入れられなければ、恐怖心を増幅させ、自分との戦いに陥り、与えられた状況を生きるのではなく、抵抗し文句を垂れ流し続けることになってしまうだろう。不確実性に抵抗するのではなく受け入れよというのは難しい注文だし、直感にも反する。

エックハルト・トールは自著の中で「不確実性が受け入れられなければ、それは恐怖へと変わりますが、もし完璧に受け入れられるなら、それはより高い活力や警戒心、創造性へと変わります」と述べている。考えてみれば、同僚の態度、不機嫌な上司、予算削減の脅威、差し迫ったレイオフ、就職できない不安など、仕事絡みの問題には自分ではどうしようもないものが多い。雇用の不確実性こそが確実なものなので、それを前提として行くことができる。雇用の不確実性を受け入れられる能力が、ストレスを軽減し、心に安らぎをもたらすという研究結果がある。それが、対処できるものには対処し、対処できないものは気にしないという心構えにしてくれるのだ。

6. 困難の中にチャンスを見いだそう。不確実性を回避するように作り上げられたマインドは、自分を安全だと思い込ませることができるものの、その作られた繭は成長しキャリアの目標に到達することを妨げる。新しい経験を前にして、すでに心が固まってしまっていると、教えを受け入れることができなくなり、学ぶことも成長することもできなくなってしまう。

イェール大学の神経科学者は不確かな状況の方がより多くのことを学べるので、不確かさが脳にとって健全であることを発見した。予測可能な環境では、脳はそれほど多くのことをする必要がない。カウチポテトのような状況となる。しかし状況が変わるなら、脳はより強く働くようになる。慣れない環境に身を置くことで、脳が新たな情報を吸収しようとする力が促される。これらの結果は、成長思考を養い、レジリエンスを高め、成功・繁栄するためには、自分のコンフォートゾーンの外に首を出してみることが重要なことを示唆しているように思われる。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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