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2022.08.28 12:00

F1技術を搭載したハッチバックSUV「ルノー・キャプチャー」に試乗した

坂元 耕二

イーテックのマーク

今回の主役は、E-TECHハイブリッド。話題のモーター付きパワートレインの基本構成はすでに上陸済みの「アルカナ」や「ルーテシア」と同じ仕様だ。1.6リッターエンジンを中心に、駆動や回生を担当するモーターが力強い走りを提供する。

エンジンの最高出力は94psと148Nmだけど、メインモーターは最高出力49ps、最大トルク205Nmを発生するので、加速性は十分といえる。それが主に発電やエンジン始動、ドグミッション変速時の回転合わせなどを担当するサブモーター(最高出力20PS、最大トルク50N・m)、そして250V、1.2kWhのリチウムイオン電池で構成される。また、22km/リッターの燃費には文句が言えないね。

ルノー渾身のフルハイブリッド‘RENAULT E-TECH HYBRID’は、フォーミュラ1のトランスミッションやエネルギーマネージメントの技術を取り入れて開発した、独自のフルハイブリッドシステムだ。

電気を動力とした静かで滑らかな発進から、市街地でのスムーズなストップアンドゴー、高速域のリニアな加速まで、エンジン・モーターがそれぞれの得意領域で性能を発揮し、状況に応じて協力しあう。回生ブレーキの力を強める「B」モードが設定されるのも「E-TECHハイブリッド」の特徴だけど、ステアリングパドルなどで段階的に減速度を調整できるような機能は備わっていない。

eTechの図解
エンジンに付随するモーター。ルノーホームページより

キャプチャーに搭載されるトランスミッションは独特。ドグミッションはエンジン用4段、メイン駆動モーター用2段という2系統があり、エンジン走行、メインモーター走行、そして両方を組み合わせたパラレル走行、さらにはエンジンでサブモーターを回して発電しながらメインモーターで走る仕組みになっている。レースカーで良く使われるドグミッションと聞くと、シフトショックが激しいと思われがちだけど、今回のエンジンとモーターの組み合わせでは、シフトショックはほとんどないのが気持ちいい。

アダプティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付)とレーンセンタリングアシストを組み合わせたシステム。車線の維持、速度、他車との間隔をチェックし、高速道路や自動車専用道路などで、長距離の高速走行や渋滞時にドライバーの疲労を低減する。
 
ドライブを安心して楽しむために、キャプチャーでは、運転をアシストする先進の運転・駐車支援システム、ルノー イージー ドライブを搭載している。これにはパートナーの日産の技術も入っている。その滑らかな制御性は日本の交通環境でも見事に奏功。電動パワートレインとなるE-TECHは加減速のフィーリングはとても丁寧で気持ちがいい。
 
安全装備も充実している。カメラが車両の周囲の状況を撮影し、真上から見下ろしたようなバーチャル映像を、タッチスクリーンに表示する。前進時はフロントビュー、後退時はリアビューが映るので便利。駐車時に、自車と周囲の状況との関係をひと目で確認できる。

モニターの画面
 
今回のキャプチャーは総合的に高く評価できる。ルックスはエレガントだし、走りもパワフル。しかも、安全装備はしっかりしているし、燃費は22km/リッターだけど、何よりも、389万円という価格はこの手にクラスには魅力的だと思う。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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