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2022.08.26

アマゾンが「グリーン水素」のPlug Powerと提携、21億ドル出資へ

Getty Images

電動フォークリフト向けの燃料電池システムを提供する「プラグパワー(Plug Power)」は8月25日、アマゾンが同社から年間数千トンの「グリーン水素」を購入する計画で、最大21億ドル(約2870億円)相当の同社の株式を取得すると発表した。プラグパワーは今年5月にウォルマートとも契約を結んでいた。

アマゾンは、2025年から年間1万950トンのグリーン水素をプラグパワーから購入し、輸送やオペレーションに使用するという。これは、ニューヨーク州レイサムに本社を置くプラグパワーにとって過去最大の取引であり、同社の売上は2025年までに年間30億ドルに達する見通しという。

プラグパワーのアンディ・マーシュCEOはフォーブスの取材に、「アマゾンは、輸送用トラックを含むさまざまな配送車両の動力源に水素の利用を考えており、今回の取り組みは彼らにとって最初の大規模な水素エコシステムになる」と述べた。

水素は、ゼロエミッションの車両や定置型電力システムの動力源として、バッテリーと並ぶ存在になると期待されている。現状の工業用水素のほとんどは、天然ガスなどの化石燃料を分解して作られているが、この方法では二酸化炭素が発生する。そんな中、プラグパワーやカミンズ社、ニコラ社、ネル水素社などの企業は、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーの電力で水を電気分解し、カーボンフリーの水素を製造している。

水素は、バイデン大統領が今月署名したインフレ抑制法にも後押しされている。この法は、カーボンフリーの燃料の製造を支援するもので、1キログラムあたり3ドル相当の税額控除をグリーン水素に与えている。

その恩恵を受けることになるプラグパワーは、2016年からアマゾンが倉庫で使用する電動フォークリフト向けの燃料電池を提供している。同社は水素燃料供給事業の拡大を目指しており、北米でのグリーン水素の製造キャパシティを年内に1日70トンに引き上げ、2025年までに1日500トンにすると述べている。

アマゾンは、2040年までに全事業所で炭素排出量を正味ゼロにすることを目指している。「プラグパワーとの取り組みが、我々の目標達成に重要な役割を果たすと考えている」と、アマゾンのサステナビリティ担当副社長のカーラ・ハーストは声明で述べた。

この取引の一環として、プラグパワーはアマゾンに1600万株を上限とするワラント(新株引受権)を付与し、最初の900万株については行使価格が22.98ドルとされている。アマゾンが7年間の取引期間中にプラグパワーの製品に21億ドルを支出した後に、全額が確定する。

プラグパワーの株価は、25日の市場で9%上昇し、30ドルで取引を終えた。

forbes.com 原文)

編集=上田裕資

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