「熱量」で人の心や行動を変えるAwwのバーチャルヒューマンとAppleシリコンの深い関係

クリエイティブは「なんか良いよね」の「なんか」を作り出す作業だが、日本にはそれを理解・言語化し意思決定できる人と経済圏を作る人が少ないという


Awwの18歳のクリエイターは、3Dレンダリングのソフトウェア『Blender』で、世界水準を超えるハリウッドレベルのCGを制作しています。このソフトウェアも使い始めるときには無料です。つまり、満足に動作する格安のマシンがあればSNSの加速、コミュニティの充実、学びのコンテンツが揃ったオンラインの世界を通じて、世界レベルのクリエイターに、自ら成長できるということです。

その意味で、最も安いMacであるMacBook AirがAppleシリコンが搭載され、その性能がさらに向上していくことで表現する、映像に落とし込む、アウトプットするといった『伝える性能』を、誰もが手にすることになるのです」

守屋氏自身も、MacBook Pro 14インチを愛用しており、Appleシリコンの性能の恩恵を受けている日常となった。最上位モデルであるMac Studioでは、それまで30分かけていたAfter Effectsのレンダリングが数分で終わるようになり、そのことを「直感的で扱いやすい」と表現する。

細部まで表現にこだわろうとするとき、手直しひとつ取っても時間が膨大にかかって心理的なハードルがなる。そのハードルがないことが「直感的」である理由だ。それはテープの時代にクリエイティブの最前線にいた守屋氏ならではの感覚といえる。



熱量を伝えるクリエイティブの未来


クリエイティブは「なんか良いよね」の「なんか」を作り出す作業だという守屋氏。それは数字で表現されるSNS上のカウントではうまく表現できず、人の心や行動を変容させるパワーであることを理解しなければならない。

Web3やNFTといったテクノロジー業界のバズワードがあるが、米国では本気で、これらのキーワードに経済を作ろうとしている。コンテキストを持つ、盗む、売る、拡げる力を、巨大な資本とともに集約して爆発させることで、世界に市場を拡げることができる。

しかし「なんか」を理解・言語化し意思決定できる人の少なさと、経済圏を作るプロデューサーが少ない。守屋氏が日本の現状を分析し「もったいない」ともどかしさをにじませる理由だ。

守屋氏が特に注目しているのが、熱量の伝搬とそれを拡げる力、そしてこれらを担える力強いコンテンツだ。例えば、新しいバーチャルヒューマンをオープンソースにして、自由にコンテンツが作れるプラットフォームができたらどうなるか? あるいは、バーチャルヒューマンがライブ配信をしたらどうなるのか?

そうした可能性を前にして、守屋氏は「今はまだ、スタートを切っていない感覚すらある」という。そして、こうしたクリエイターのエコシステムへの参加や活躍へのハードルが、極めて下がっている時代もまた、守屋氏の前提に組み込まれているのだ。

編集=安井克至

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