有名人も、政治も、宗教も、あらゆることがオープンになる時代。そして、その事実を見ながら育っているのが、Z世代、α世代の若者たちだ。包み隠して何かを実行したり、負の部分を見せずに市場を作り上げたりすることはもはやできないし、そうすべきではない。
熱量があるコンテンツがその共感を通じて伝搬するのが現在であり、Z世代・α世代のクリエイターは、作ることよりも「伝えること」により大きな価値を見出しているのだ。
だから、Awwの表現は、クリエイターのエゴにフォーカスしてあげることを大事にしている。そうしなければ、「平均点のコンテンツ」になってしまい、熱量を伝えることができない。おもしろくないと守屋氏は断言する。
Appleシリコンが持つ「伝える性能」
Awwについて聞くと「とにかく若い、国際色豊かな会社」と答える守屋氏。CGをリードしているのは18歳、20歳。スポーツ選手のように、クリエイティブの技術で勝負したいと、高校を辞めて働き始める人たちだ。彼らも「熱量を伝えるクリエイティブ」で勝負しているという。
Z世代とつながりながら、その世代の人たちが、「自分が良いと思えるコンテンツ」を作り上げていく世界がAwwの社内で展開されている。勉強熱心で、おもしろいコンテンツに触れるとひたすらDiscord上で議論し分析し、学び取る。この動きは日本だけでなく、同様のことが世界で同時多発的に起きており、極めて若いクリエイターが才能を発揮しているのだ。
SNSネイティブな世界とその浸透によって価値感が変化してきたことがあるが、彼らの世代にとっては、ネットワークとコミュニティの他に、コンピュータとソフトウェアの充実がある。特に2020年に登場したAppleシリコンを搭載するMacBook Airの存在は重要だった、と守屋氏は分析する。
「すでに変化は起きています。昨年Nikeが買収したRTFKT(アーティファクト)は、村上隆さんとコラボレーションしたNFTプロジェクトを行いましたが、そこでは当たり前のように3Dデータが配布されました。これを受け取ったクリエイターが、新たな表現を創作し始めます。
ここで重要なことは、クリエイターなら3Dデータを扱えるという前提で、物事が動いている点です。3DCGはコンピュータ処理の中でも重たい部類に入り、ビデオ以上に極めて高いコンピュータのパフォーマンスが前提となります。
裏を返せば、3Dデータが扱えれば世界レベルのクリエイティブに参加することができることでもあります。