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2022.09.03 08:30

起業動機は「ネットが遅い」。個人でISP立ち上げ、顧客は近隣600世帯

マウチ氏のネットワークサービスを受けている住宅に設置されたファイバー

まさに、「必要は起業の母」「自分の不便こそ人助けの種」という話が米国から舞い込んだ。

米国「arstechnica.com」その他米国のメディアによると、ミシガン州の片田舎に住むジャレッド・マウチ氏は、大手ISPからサービスを受けられなかったため、なんと独自で家庭向けISPを構築、さらには260万ドルの政府資金をもとに事業を拡大中だ。

独自のISP、「Washtenaw Fiber Properties LLC」を構築


5年ほど前、マウチ氏の自宅では、AT&Tからダウンロード速度が最大1.5MbpsのDSLしか提供されていなかった。大手ISPから最新のサービスを受けようとしたが、予算的な問題などから受けることができなかった。

例えばコムキャスト社では、例え近隣の他の地域が同社のサービスを利用していたとしても、顧客が同社のネットワーク地域外にいる場合は、回線延長の費用がかかる。マウチ氏はコムキャスト社から5万ドルもの料金を要求されたという。

そこで、マウチ氏は既存のISPに頼らず、独自のISP「Washtenaw Fiber Properties LLC」を構築する計画を立て始めた。マウチ氏によると、ネットワーク管理は大きな問題もなく、スムーズに行われており、現在およそ70軒の顧客を持っているという。

マウチ氏のISPは、緊急事態への対策も万全だ。マウチ氏がヨーロッパ旅行で留守にしていた間、菅内の変電所で停電が発生した。この停電でインターネットが使えなくなった顧客がいたが、マウチ氏のネットワークは自宅の発電所のおかげで動き続けていたという。その結果、どの顧客がサービスを受けられていないかを確認し、迅速に対応することができた。

また、マウチ氏が提供するネットワークには通常約500Mbpsのトラフィックが使用されているが、必要に応じて4Gbpsに増強することもできるという。マウチ氏が独自のネットワークを構築する前、彼の自宅では最大 1.5MbpsのDSLしか提供されていなかったことを考えると、このサービスは非常に有益だ。
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構成=伏見比那子 編集=石井節子

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