ビジネス

2022.09.03 08:30

起業動機は「ネットが遅い」。個人でISP立ち上げ、顧客は近隣600世帯


政府から資金260万ドル獲得!


マウチ氏はおよそ70軒の顧客にとどまらず、新たに600軒近くの住所にネットワークサービスを拡大する予定だ。

2021年の米国救済計画法に基づき、マウチ氏の住む郡は米国政府から7100万ドルを割り当てられた。その資金の一部はブロードバンドに充てられることになったが、郡は、サービスが行き届いていない住所の配線を業者に依頼することにした。


ブロードバンドネットワークサービスの「配達」に向かう、ミシガン州ジャレッド・マウチ氏のデリバリートラック

マウチ氏はなんとこのプロジェクトを落札することに成功し、およそ260万ドルの資金を得たのである。

マウチ氏のネットワークには現在およそ14マイルのファイバーが建設されているが、このプロジェクトを完了させるために、追加で38マイルのファイバーを建設する予定だという。マウチ氏は、人口の少ない地域では「一軒の家に行くのに半マイルも建設しなければならない家が少なくとも2軒あり、これらの家がサービスを受けるには各3万ドル以上かかるだろう」と述べる。

請求書の項目は1つだけ、追加料金は一切なし


マウチ氏と郡とのこの契約は2022年5月に締結された。マウチ氏は、フリーダム、リマ、ロディ、サイの各町村にある、推定417の住所にネットワークを拡張するという。

契約ではこの417の住所へのサービス提供が義務付けられているだけだが、マウチ氏はこの新しいファイバールートは「596もの潜在的な顧客を素通りすることになる」と指摘する。「他のプロジェクトでカバーされている住所を通過して新しいファイバールートを建設しているが、この地域で最初にルートを建設するのは自分である可能性が非常に高い」とマウチ氏は述べる。

この契約では、マウチ氏は月55ドルで100Mbps、月79ドルで1Gbpsの対称型インターネットと、無制限のデータを提供する。設置料金についても199ドルという格安の値段だ。

大手ISPと違うのは、マウチ氏は単項目のシンプルな請求書を提供し、追加料金は一切発生させない点だ。

ISPを構築するようになったことでマウチ氏の生活は変わった。「近所の人たちからの知名度は上がったし、携帯電話にも、“ファイバーケーブルおじさん”として登録されるようになった」と語っているそうだ。

構成=伏見比那子 編集=石井節子

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