迅速なラストワンマイル配送サービスが急増しているが、それは大小さまざまな小売店がアマゾンに対抗しようとしているためだ。アマゾンは、いまから17年前の2005年、他に大きく先駆けるかたちで、2日以内の配送を約束するプライムサービスを始めた。
このところ続く発表を見ていると、ラストワンマイルのインフラ整備に投じられた膨大な資金の成果が得られるのはいつになるのだろうかと、首をかしげざるを得ない。ラストワンマイル分野では競争が激化しており、必要なテクノロジーは複雑だ。
あまりに利便性を追求しすぎて、サービスを維持できなくなるということはないのだろうか。消費者は、どのくらいのスピードを求めているのか。そして、そのスピードにお金を出す気はあるのか。配送用ドローンが空を飛び回る日は来るのか。それとも、社会や人々にとって危険であることが証明されるのか。
まずはウォルマートのニュースだ。同社は2022年7月、米電気自動車(EV)スタートアップのカヌーに4500台の電動配送車を発注したと発表した。1万台を追加注文する可能性もあるようだ。とはいえ、アマゾンが別のEVスタートアップ、リヴィアンに発注した10万台という数にははるかに及ばない。
ウォルマートのこのニュースが大きな意味を持つのは、同社が世界最大の小売店であることだけが理由ではない。ウォルマートは、独自に「ウォルマート・ゴー・ローカル」というサービスを構築しているからだ。ゴー・ローカルは、自社のみならず、ホームセンター大手ホーム・デポやアパレル販売チコズなど、他の小売店に対してもラストワンマイル配送を提供するサービスだ。