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2022.09.02 12:00

日本は「太ってる幻想」大国? ナイキのぽっちゃりマネキンは海を渡るか

ロンドンで話題を呼んだナイキのプラスサイズモデル マネキン(日本には導入されていない)

ある下着ブランドのマネキンの画像に22万件を超える「いいね!」がTwitterで集まった。そのマネキンは、わたしたちが通常よくみる8頭身の現実離れした体型ではなく、いわゆる「普通の体型」だ。お腹周りに肉がつき、太ももは私たちが鏡でみてがっかりしてしまう大きさ。

しかし、Twitterのコメントでは「たしかにこのマネキンの方が服の着用感とか分かりやすいかも」「めっちゃ親近感」「親近感湧くなぁ…」と好意的な意見が寄せられている。

マネキンといえば、2019年ナイキの旗艦店がロンドンでプラスサイズ(ぽっちゃり)モデルのマネキンを起用した。これはナイキのプラスサイズ商品をより強化していく取り組みの一つとして注目された。マネキンの多様化は何を意味しているのか。マネキンをきっかけとして、美の多様化をうたう世界の流れと日本の現状について考えてみたい。

「プラスサイズ」の検索387%増加


2019年6月、ナイキはプラスサイズモデルのマネキンをロンドンの店舗で導入し、話題を呼んだ。SNS上で賛否両論が飛び交ったが、この話題性により、世界最大級のECストアでの「ナイキ」「プラスサイズ」の検索が387%増加したという

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Nikeのプラスサイズマネキン(Nike)

イギリスのメディア、「テレグラフ」のジャーナリストが「プラスサイズマネキンが不健康を助長している」という主旨の記事を掲載した時も、それをさらに批判する声が多く出た。対抗するように、ぽっちゃり体型の女性たちがスポーツを楽しむ姿の写真をたくさんあげた。



プラスサイズマネキンを後押しする動きは、どんな体型の人でも美しいし、ありのままの自分のカラダを受け入れようという「ボディポジティブ」のムーブメントからきている。フランスやイスラエルでは、痩せすぎモデルを起用することを禁止する法律を施行した。欧米から始まった世界的な流れによって、このボディポジティブムーブメントを市場拡大やマーケティングのツールとして多くのグローバル企業がこぞって起用している。

今年2月、ナイキと同じ世界的に有名なスポーツブランドのアディダスは、渡辺直美をブランドアンバサダーに任命した。女性のインクルーシビティに焦点をあてたキャンペーンに伴う起用だった。アジア人であり、プラスサイズである彼女は多様性の象徴ともいえる存在だ。

渡辺直美の他にも、Netflix作品「イカゲーム」に出演している韓国のモデルのチョン・ホヨンや、ダウン症候群のモデル兼ダンサーであるエリー・ゴールドスタインなど様々なバックグラウンドの女性たちが選ばれた。

このように企業の一つの戦略としてボディポジティブは今後ますます外せないキーワードとなるだろう。ドイツの調査会社「スタティスタ」によると、2027年にプラスサイズのアパレル市場は、2019年に比べて40%増加するといわれている。

それでは、日本の場合、どのようにこのムーブメントは受け入れられているのだろうか。
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文=井土亜梨沙 編集=石井節子

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