経済・社会

2022.08.26 09:30

50年前のロシア水上機が今も黒海で任務中


32トン級のベリエフ水上飛行機は1960年代にソ連の艦隊に導入された。最高速度は時速約530キロメートル、積載量7トン。着水可能で、哨戒や救難の任務に使用され、輸出ではそこそこの成功を収めた。

ウクライナ海軍は1991年のソビエト連邦崩壊時に7機のBe-12を受け継いだ。クリミアがまだウクライナの支配下にあった頃、サキ空軍基地から移動して来た。そしてロシアが2014年2月にクリミアに侵攻した際、ベリエフ1機がなんとか飛び立ってウクライナ南部のムィコラーイウに逃げ延びた。

ロシアは他のベリエフを取り押さえた。奇妙なことに、ロシアは実際にはクリミアでとらえた機体の多くをウクライナに返還した。ここには「Yellow 02」というコードのBe-12も含まれる。

クリミア半島のロシア軍は2014年4月、ウクライナの乗組員に「Yellow 02」をミコライフに飛ばすことを許可した。2年後、その水上飛行機は黒海で行われた北大西洋条約機構(NATO)の演習「Sea Breeze 2014」に参加した。

現存するウクライナのBe-12はいずれも少なくとも2019年まで飛行していたが、2021年後半に撮影されたものなど最近の写真では修理状態が悪い様子がみてとれ、使用されていないようだ。

黒海は特にウクライナの航空機にとって非常に危険な場所となっており、低速のウクライナの航空機にとってはさらに危険であることから、使用しないのは理に適っている。ウクライナ海軍はもはや大型の軍艦を持たず、ドローンと陸上対艦ミサイルでほぼ戦っているため、数機の古い水上飛行機の維持の優先順位が低いのは確かだ。

海上の防空状況は、少なくともクリミア半島のS-400長距離防空ミサイルからある程度保護されているロシア航空機の方がいくらか有利だ。

8月9日にサキ空軍基地に駐機していた水上飛行機が飛行可能かどうか、また近年飛行可能であったかどうか、確認は難しい。しかし、黒海艦隊に所属する3機のBe-12のうち、少なくとも一部は今もクリミア半島沖で運用されていることが示されている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

ForbesBrandVoice

人気記事