経済・社会

2022.08.26 09:30

50年前のロシア水上機が今も黒海で任務中

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ロシアが占領しているクリミア半島にあるロシア空軍基地へのウクライナによる今月初めの壊滅的な攻撃で、ロシア海軍の黒海艦隊に所属する数十機の軍用機が破壊されたようだ。

しかし古い1機が生き残った。1970年代のベリエフBe-12水上飛行機で、黒海艦隊に残る数少ないBe-12か旧ウクライナ海軍の廃機だ。

双発のベリエフ3機は、生産から49年以上経った今でもパトロールや救助任務で黒海を飛び回っているのかもしれない。ロシア海軍航空隊はこれとは別に3機のBe-12を他の地域の艦隊の一部として運用しているという。

Be-12が目撃されることはレアだ。そのため8月9日の基地攻撃から数日間、クリミア半島西海岸にあるサキ空軍基地をとらえた商業衛星画像に写ったガル翼を特徴とするこの水上飛行機は話題となった。

ドローン攻撃、弾道ミサイルによる攻撃、そしてコマンド部隊襲撃による昼間の攻撃で、ロシア黒海艦隊の第43独立海軍攻撃航空連隊の拠点であるサキ空軍基地全体で爆発が起こった。

その結果、Su-27戦闘機8機、Su-30戦闘爆撃機4機、Su-24爆撃機5機、Mi-8ヘリコプター6機、IL-20情報収集機1機が焼け落ちたとロシアの情報筋は伝えている。

攻撃から数時間経った駐機場からの映像には破壊された1機のSu-24が映っている。商業衛星画像では8機のSu-24と5機のSu-27とSu-30の破壊が確認されたようだ。ウクライナ国防省はロシア軍機9機を破壊したと主張している。



これらの情報源はいずれも包括的なものではない可能性がある。情報を総合すると、ロシア海軍が少なくとも9機、多くて27機を失った可能性がある。第43連隊が無力となったかもしれず、黒海艦隊は部隊を再構築する必要がありそうだ。

しかし、8月9日にサキ空軍基地に駐機していたBe-12は被害を免れたようだ。空襲後の衛星写真では、Be-12は被害の大半が発生したエプロンから少し離れた護岸に駐機している。

攻撃から5日後、サキ空軍基地近くを飛ぶBe-12を撮影した人がいた。
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翻訳=溝口慈子

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