──これまでの投資で最も誇れる案件は? また、後悔している案件は?
私たちのポートフォリオの中で、特筆すべきはAlchemyだ。Panteraは彼らのシリーズAをリードし、現在のポジションに押し上げることができた。Alchemyの評価額は102億ドル(約1.4兆円)にまで上昇し、エコシステム全体のニーズに応えるプロダクトを生み出した。彼らにとって最適なパートナーとなり、雇用からビジネス戦略まで、多くの価値を提供できたことは誇らしい。
一方で、惜しいと思うのはFTXに早くから投資しておけばよかったということだ。当社は、Blockfolioのような投資先企業を通じて、ある程度のFTXのエクスポージャーを得ることができたが、FTXへの投資を検討した当時は規制面での不安があった。
──イーサリアムのマージは9月に実現すると思うか? その場合、どのような動きが発生するか?
イーサリアムのマージは確かに実現する見通しで、今後のさらなる発展が期待できる。マージの結果、人々はイーサリアムのレイヤー2に目を向けるようになるだろう。また、分散型金融(DeFi)の活性化にもつながるし、NFTのような他のユースケースをイーサリアム上で推進する可能性もある。他のレイヤー1は、その状況を見極めて、マージ後の差別化要因を考える必要がある。
──SEC(米国証券取引委員会)はここ最近、多くのトークンが実際には証券であると主張するなど、非常に活発な動きを見せている。規制環境についてはどう考えているか?
私たちは引き続き、当局の理解を助け、規制を推し進めるよう努力するつもりだ。クリプトの起業家たちにとっては、曖昧な状態であるよりは明確な規制が存在するほうがありがたい。また、KYC(本人確認)やセキュリティなど、より規制の厳しい世界を見据えたインフラやテクノロジーに投資する機会もあると考えている。
──今後のクリプト業界にはどのようなチャンスが広がっていると思うか?
今は伝統的なテック企業から多くの素晴らしい起業家がこの分野に参入している。そのうちの何人かは解雇された人かもしれないが、株価が下がっている今、そこに留まるインセンティブは少なく、人々はクリプトの分野で新たなチャンスを探している。投資サイドからも多くのファンドが参入し、その大半がシードステージにフォーカスしている。そのため、多くの素晴らしいアイデアと企業が誕生している。
私が特に期待しているのは、NFTの領域で、まだ初期の段階だがクリエイターとブランドの両方からの参入が今後もますます増えていくだろう。ゲームの分野にも、開発者がブロックチェーンを活用できるようなインフラを提供するチャンスがある。また、インド、東南アジア、ラテンアメリカなどの地域にも大きな機会が開かれている。これらの地域では、より多くのインフラが必要とされている。
(forbes.com 原文)