経営者が座右の書とする漫画作品を紹介する連載「社長の偏愛漫画」。自身の人生観や経営哲学に影響を与えた漫画について、第一線で活躍するビジネスリーダーたちが熱く語ります。
第3回目は、2代目バチェラーで知られるGHOST代表取締役CEOの小柳津林太郎が登場します。聞き手を務めるのは、漫画を愛してやまないTSUTAYAの名物企画人、栗俣力也。
温故知新──「食育」の答えは30年以上前のこの漫画にあった
栗俣力也(以下、栗俣):『クッキングパパ』を選ばれた理由は?
小柳津林太郎(以下、小柳津):小学1年生から中学3年生まで、僕はニューヨークで暮らしていました。「ABC」と「あいうえお」を同じぐらいの時期に学びながら、アメリカで四苦八苦していました。
当時、現地校に通っていた僕にとって、日本の文化を知る手段が、現地で1週間遅れで購入できる『週刊少年ジャンプ』だったんです。日本文化にキャッチアップするために『週刊少年ジャンプ』を毎週読み、日本にいる祖母が1カ月分録画して送ってくれる日本のアニメを、むさぼるように鑑賞したものです。
『クッキングパパ』は、両親がトイレに単行本を置いていたので、自ずと手に取るようになり、家族みんなで回し読みしました。
ニュージャージーに「ヤオハン ミツワ」という日本人向けの大きな量販店があって、漫画はだいたいそこで買っていました。『クッキングパパ』も親がたまたま買ったのですが、次第に僕も弟も読むようになり、1巻から全部揃えようということになりました。家族全員でハマッた漫画ですね。
小柳津は2018年にAmazon Prime Videoの人気番組「バチェラー・ジャパン」で2代目バチェラーに就任。
小柳津:両親が共働きであるところは、『クッキングパパ』の荒岩一家もわが家も同じです。親の仕事が忙しいのなら、小学生の自分が料理を振る舞い、家族全員で食事を楽しめばいい。僕は小学2〜3年生頃から、オカンが帰ってくるまでにご飯を炊いて、味噌汁を準備するようになりました。
クックパッドもYouTubeもない時代でしたから、『クッキングパパ』を見て、簡単な一品料理を試してみようとか、そんなことを子どもの頃からやっていました。