MBAのカリキュラムで「気の整え方」も教えるべきだ

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1997年のことだ。私は、親愛なる友人であり、ハーバード・ロー・スクールの長年の同僚でもあるダグ・ストーンとともに、ソウルの有名大学で交渉と紛争解決に関する1週間のワークショップを担当していた。

午前中のセッションの後、参加者の1人がいないことに気がついた。「彼女は医者に行っていて、『気』のバランスを取り直しているんだ」と学生が教えてくれた。

「え、何の医者?」

そのときは無表情で応じてしまったのが、今となっては心苦しい。当時の私は、今と同じようなことを知らなかったのだ。トップリーダーには、この「気」とも呼ばれる生命力を活用することが重要だ。リーダーとして偉大な業績を残すには、ウェルビーイングの中心にある、自分の核となるエネルギーを容易に、そしてうまく引き出せるかどうかにかかっているのだ。

この知恵は、東洋文化圏では何千年も前から知られていたが、西洋のリーダーシップの習得という意味にはまだ組み込まれていない。MBAのカリキュラムに「気のバランスをとる」ことが書かれていることはまずないだろうが、私は含まれるべきだと思う。

あなたの「中心」は、冷静さだけでなく、活力をもたらす


25年前、韓国でダグと過ごした1週間以来、私は生命力のエネルギーがリーダーシップのパフォーマンスと充足感にどう関わるかについて研究してきた。生命力のエネルギーは非常に重要なもので、私が『Winning from Within』で紹介するリーダーシップ理論の中心的な要素になっている。生命力エネルギーは、私たちが何者であるかを示す基本的な要素なのだ。

「Winning From Within」のシステムでは、私たちはそれぞれウェルビーイングの中心を持っている。この中心には、私たちの本質的な生命力、つまり私たちのエッセンスが存在する。

私はストレスに打ちひしがれたときに、ウェルビーイングの中心に繋がることで得られる、穏やかさと内なる平安の資質についてよく教えたり書いたりしているが、この中心にはリラクゼーション以上のものがあるのだ。
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翻訳=Akihito Mizukoshi

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