社会を変えるのは消費者
社会問題に関する議論では、与えるインパクトの大きい企業が槍玉に挙げられがちだが、その活動方針を決めているのは紛れもなく消費者だ。
企業は消費者からそっぽを向かれるものは作らない。
消費者が環境負荷には目もくれず、低価格・高品質のものを選び続けてきた結果が、今の大量生産・大量消費社会なのだ。
「自分1人がやったって何も変わらない」という気持ちになることもあるかもしれないが、消費者が変わらなければ社会は変わらないのである。
「三方よし」が大切
「三方よし」とは「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の3つを大事にする近江商人の経営哲学である。
気候変動の対策として再生可能エネルギーを普及させ、電気代が上がってしまうと、貧困家庭の生活はさらに苦しくなる。社会貢献はできても「買い手よし」とはいえない。
真にサステナブルな社会を実現するためには、3つのバランスを考えながら慎重に進めなければならない。
無理なく楽しく
まだ何も始めていない人から、熱心に取り組んでいる人まで、さまざまな人が読んでくださったのではないかと思う。
大前提、エシカル・SDGsの主語は人間であり、人・動物・地球への配慮によって我慢が強要される人間社会に持続可能性があるとは言い難い。
一人一人が無理なく、楽しく、実践していくことが何よりも大切であり、健やかに実践できる範囲を広げていく仕組みづくりこそが、企業努力の方向性として重要である。
いきなり100点になろうとするのではなく、できることから少しずつ取り組んでいこう。消費者のムードが変わるだけでも、社会変革のポテンシャルは十分にある。段階的な実践を肯定していく社会の実現を切に願っている。
※この記事は、2022年6月にリリースされた「エシカルな暮らし」からの転載です。