30U30

2022.09.01

カニササレアヤコは何者か。音楽家、エンジニアとマルチな才能を発揮するお笑い芸人

雅楽芸人・カニササレアヤコ、28歳

平安装束をまとい、雅楽器の笙(しょう)を使った「雅楽ネタ」を得意とするお笑い芸人、カニササレアヤコ。次世代を担う「30才未満の30人」を選出する「30 UNDER 30 JAPAN」エンターテインメント部門の受賞者に選出された。

実は彼女、芸人だけでなくアプリ開発などを手がけるエンジニアとしても活躍している。近年は音楽を演奏する仕事も増え、この春には雅楽を深く学ぼうと東京藝術大学邦楽科に入学した。

楽器とともに歩んだ幼少期


子ども時代から興味と関心の幅が広かった。

音楽に関しては、4歳でピアノを始めて以来、中学校では吹奏楽部でアルトサックスを担当、高校では弦楽部でバイオリンを弾くなど、様々な楽器に触れてきた。「笙」は、大学1年時に雅楽好きの母から贈られたのをきっかけに、地元のカルチャーセンターに通って演奏方法を習得した。

一方でお笑いにも興味を持ち、中学の文化祭で友人とともに漫才を披露。高校では学内で「お笑い研究会」を立ち上げ、月に1度空き教室で発表会を開催していた。

「友人の家で即興の演劇ごっこをやって楽しんでいたのが始まりでした。私が三枚目の役をやり、観客役のお母さんに見てもらっていました。ネタ番組の『エンタの神様』が最盛期で、お笑いブームだったんです」

高校では「お笑い甲子園」など学外の全国大会にも出場。現「霜降り明星」の粗品なども出場していた時代だ。

雅楽ネタで頭角をあらわした大学お笑い時代


大学選びにおいても「お笑い」の存在は大きかった。早稲田大学を志望校に選んだのは、有名なお笑いサークル「お笑い工房LUDO」への憧れや、そこに「Gパンパンダ」をはじめとした尊敬する芸人の先輩がいたことなどから。入学後はすぐにこのサークルに入部した。

サークルではコンビを組んで、漫才・コント両方に挑戦。その頃のネタを「文豪のおもしろストーリーとか、早大生あるあるですね」と振り返る。そんな中、学生お笑いの大会で2位を獲得。ワタナベエンターテインメントの養成所から声がかかり、入学する。

「雅楽ネタ」が生まれたのは大学3年時のこと。自分にしかできないネタを模索するなか、音色が気に入っていた「笙」のことを思い出したのだ。全国規模の学生お笑い大会で笙を用いたネタを披露したところ、審査員特別賞を獲得した。


舞台では平安装束をまとう

ちなみに学生時代はお笑い以外の活動にも精力的だった。アルゼンチンタンゴのサークルで幹事長を務めたり、「モンゴルを馬で駆け巡りたい」と3回も現地を訪れるなど、興味の赴くままに多忙な学生生活を送っていた。

「色々なことに手を出しすぎて収拾がつかなくなってしまいがちなんです(笑)」
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文=矢吹博志 構成=田中友梨 写真=帆足宗洋(AVGVST)

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