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2022.09.28 10:00

スタートアップが熱い東北、産官学の躍動とイスラエルの存在

坂元 耕二

今、スタートアップにとって最も熱いエリアの一つ、東北 / photo by shutterstock.com

安定を求め、リスクを回避しがちな従来の経済制度や組織体質等を変革してでも、世界で戦えるスタートアップを創出して経済成長を果たさなければ、日本と世界の差は開く一方になる。このような危機感から、政府もスタートアップ支援に力を入れており、その1つとして世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点都市(以前その要諦を示させていただいた)が挙げられる。

中でも、ソーシャルイノベーターが世界中から集う都市へと変貌を遂げようとしているのが、東北だ。

その中心となる、仙台スタートアップ・エコシステム推進協議会は「新しい価値を持続的に産み出すスタートアップ・エコシステムを産官学金労言で構築し、 社会課題解決に挑戦する人々と伴走して仙台・東北における地域課題の解決と地域経済の活性化を実現する」をミッションに掲げ、社会的インパクトと経済的インパクトを両立した挑戦をし続ける東北のスタートアップを支援している。

彼らがソーシャルイノベーター支援を重視する理由の1つに、2011年3月11日の東日本大震災がある。1000年に一度と言われる災害を経験した東北は、深い喪失と悲しみの中、震災後に多くの課題に見舞われた。それでも、自らの手で社会を変えようとする人々が集まり、未来への種を蒔いてきた。このような背景から、挑戦する人、社会課題の解決に取り組む人がビジネスとして活動の範囲を広げるために様々な取り組みを行っているのだ。

では、具体的にどのように、地域経済活性化の起爆剤となる起業家を応援するためのスタートアップ・エコシステム構築に取り組んできたのか。本協議会の白川裕也氏によると、東北全域を対象にした広域アクセラレーションプログラムや、大学の研究成果等の最先端のテクノロジーを社会課題解決につなげるための事業創造プログラムが展開され、コワーキングスペースやインキュベーションスペースが続々開設されるなど環境が徐々に整いつつあるという。

また、1000名以上が参加する地方最大級のスタートアップイベントに成長した「SENDAI for Startups!」は10年を迎え、東北中の起業家が繋がる場となっているそうだ。

sendai for startupsの画面
SENDAI for Startups!のwebサイト

白川氏は、「仙台市が目指すのはCapital of Social Innovationの実現です。課題先進地と呼ばれる東北から、事業性に加え、社会課題を解決する社会性を持ったスタートアップを次々に生み出していくことです。仙台・東北で暮らす人々が豊かさを実感できる未来の実現に向け、スタートアップとともに課題先進地東北を課題解決先進地へと変えていくために挑戦を続けていきます」と、意気込みを語った。

本協議会が支援するスタートアップ像は、大きく2つに分けられている。大学発の革新的技術・アイデアによる創業と革新的ビジネスモデルによる創業・ビジネスモデル変革を伴う第二創業だ。

大学発スタートアップにおいては、国内スタートアップ評価額ランキングの上位に入るクリーンプラネットやispaceなどを排出している東北大学を中心に、大学発ベンチャー企業の創出に取り組んでいる。経済産業省の「令和3年度大学発ベンチャー実態等調査」によると、東北大学の大学別ベンチャー企業数は157社で、全国6位である。

開学以来「実学尊重」を掲げてきた東北大学。産学連携機構スタートアップ事業化センター 企画推進部長の石倉慎也氏によると、東北大学発ベンチャーは、その研究成果を社会実装する重要な役割を担っており、その業種は、研究分野を反映して、素材・材料、エレキ・デバイスなどの分野をはじめ医療・バイオまで幅広いことが特徴だという。
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文=森若幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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