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2022.08.29 07:15

「言っていることとやっていることが違う」仕事環境で苦しむ社員を救う方法

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「挑戦」や「改革」といった勢いのいい空手形の言葉ばかり。言葉と中身が一致していない組織において、所属するメンバーがメンタル不調を起こすことも少なくない。

こうして社員は、やる気を失っていく ~リーダーのための「人が自ら動く組織心理」』(松岡保昌著、日本実業出版社)から、「ダブルバインド(二重束縛)」による実害とそれに対応する改善策を紹介する。

ダブルバインドは、メンタル不調につながりかねない


掲げているメッセージと、実際の現場で行われていることにギャップがある。いわゆる「言っていることと、やっていることが違う」職場で、人は本気で働くことができるでしょうか。職場における「言行一致」は非常に重要です。

前出の例以外にも「わからなかったら、すぐ相談して」と言われて相談しに行くと「そのくらい自分で考えて」と言われてしまうといった対応も、職場ではよく見かけます。

このような相反するコミュニケーションを「ダブルバインド(二重束縛)」と言います。言われた側は、どちらの指示に従っていいのかわからず混乱し、身動きがとれなくなります。しかも、どちらに従っても叱られるため、強いストレス状態に陥り、メンタル不調にもつながりかねません。

このようなダブルバインドのコミュニケーションが多い職場の問題点は、精神的なストレスだけでなく、しだいに社員の自主性がそがれていくことにもつながることです。どちらの指示に従えばいいのかわからず、自信や自主性が失われていくと、結果として職場全体のパフォーマンスも低下していきます。

「言っていることと、やっていることが違う」というダブルバインドを防ぐには、まずは全社でのメッセージを統一し、徹底を図ることです。

そこで問題になるのが、そもそも目標や掲げているメッセージに実効性があるのか、そのメッセージを成功させるための手順やシナリオは明確になっているのかということです。

具体的な実現までのプロセスを、徹底的に考え抜き、それらが確実に実行されることが肝要です。そのためには、真のPDCAのサイクルが機能している必要があります。

進化する組織には、「自由と規律」のPDCAサイクルが必要


「P(Plan)D(Do)C(Check)A(Action)サイクル」は、日常的に多くの組織でも実践されているはずです。企画し、実行し、きちんと振り返り、改善を繰り返す。とても大事なマネジメントサイクルです。

しかし、その中身を見ていくと、Planの段階で一生懸命アイデアを出しているのは一部の人間だけだったり、Checkの段階で忌憚のない意見が出づらく、客観的に振り返ることができていなかったりすることは少なくありません。

PDCAサイクルが真に機能するためには、「自由と規律」の両面が不可欠になります。アイデアや意見を出し合う必要のあるPlanやCheckでは「自由」に、着実に実行する必要があるDoやActionでは「規律」的にメリハリを持って運用していきます。

「自由」が強すぎれば、アイデアはどんどん出てもやり切る力が弱くなる。「規律」が強すぎると、余計な忖度が入り、時には隠蔽体質につながりかねない危険性もあります。

だからこそ、「自由と規律」がうまく作用することで、組織は機能するのです。自社がそのような組織になっているか、ぜひチェックしてみてください。


こうして社員は、やる気を失っていく 〜リーダーのための「人が自ら動く組織心理」
(松岡保昌著、日本実業出版社)

編集=安井克至

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