調査は、米国の企業幹部722人を対象に実施。このうち、景気後退が自社にとって深刻なリスクになると回答した人の割合はわずか30%だった。一方で83%が、景気後退の可能性が高まる中でも成長戦略に注力していると答えた。
それでも、人員の削減や制限に乗り出している企業幹部の割合は、景気後退を懸念する人よりもはるかに大きかった。人員削減を計画していたり、既に実施したりしている回答者は50%、内定を取り消したり、取り消しを計画したりしているとの回答も44%に上った。
これらの数字の間にあるギャップは、求職者や採用担当者の多くを困惑させている労働市場の二面性を示すものだ。米国では企業による従業員解雇のニュースが多く報じられる一方で、政府の統計では新規雇用数が増え、失業率もコロナ前の水準に戻っている。
ここ数年で事業を拡大しすぎたり、コロナ禍で生じた大量退職に焦り雇用に走ったりした企業がある一方で、テクノロジーの急速な進化に対応する上で必要な専門スキルを持つ人材の確保に今も苦労している企業は多い。
PwCの調査結果からは、企業幹部らが専門分野に特化した人材を確保しつつも事業規模縮小に動いているという驚きの状況が明らかになった。回答者の約70%は、適応可能な職種に対して常時リモート勤務の選択肢を広げていると答えている。リモート勤務の恒久化は、約2年間に及ぶフレキシブルな在宅勤務を経験した従業員が強く望んでいるものだ。さらに、64%は従業員の給与を増額し、62%はメンタルヘルス関連の福利厚生を拡大している。
しかし、他の面に関しては、縮小・拡大の回答の割合はほぼ同じだった。例えば、必要な人材の確保のためだけに企業買収を考えていると回答した人の割合と、採用凍結を計画していると回答した人の割合は、どちらも52%だった。49%が(おそらく人材不足を補うために)退職者の再雇用を促進していると答えた一方で、ほぼ同じ割合の46%が新規雇用を増やすための契約時ボーナスを減額したり廃止したりしている。