ビジネス

2022.08.23 11:30

アマゾンが買収検討の「シグニファイ・ヘルス」が株価急騰

Tada Images / Shutterstock.com

アマゾンが買収を検討していると報じられたヘルスケア関連プラットフォームの「シグニファイ・ヘルス(Signify Health)」の株価は8月22日の市場で急上昇した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は21日、ドラッグストア大手のCVSヘルスや、ユナイテッドヘルスなどの大手が参加する入札合戦にアマゾンが加わることで、シグニファイの評価額が80億ドルを上回る可能性があると報じた。

これを受け、シグニファイの株価は22日の市場で24%急騰して28ドルをつけ、時価総額は66億ドル(約9000億円)に上昇した。WSJは今月始めシグニファイが、売却の可能性を探るために銀行と話し合いを進めており、CVSヘルスが買収に関心を示していると報じていた。

ウィリアム・ブレアーのアナリストのマット・ラーリューは、シグニファイが米国の公的医療保険プログラム「メディケア・アドバンテージ」層の膨大なデータを収集していることから、医療分野でのリーチを広げようとする大手小売業者にとって、価値のある買収になると22日のメモで述べている。

ブレアーは、80億ドル以上の買収となれば、株価は34ドル程度となり、現在の水準から17%上昇することになると指摘した。シグニファイの株価は年初から86%上昇している。

アマゾンのアンディ・ジェシーCEOはヘルスケア業界への進出を最優先事項としており、先月は約39億ドルで医療サブスクリプションサービスの「ワン・メディカル」を買収していた。

ダラスを拠点とするシグニファイの株価は、2021年2月のIPOで約5億6400万ドルを調達し、70億ドル以上の評価額を記録して以来、低迷していた。同社の株価は、22日の急騰以降も、IPO直後の高値を約20%下回っている。シグニファイは今月初め、介護サービスへの注力を停止し、収益性の高い在宅サービス部門を優先するという計画の一環として、全米で489人の従業員を解雇していた。

シグニファイは、キャシー・ウッド率いるアークインベストの上位保有銘柄の1つでもある。アークインベストは、2億ドル以上のシグニファイ株を保有しているが、先週は約1200万ドル相当を売却していた。アークインベストは、遠隔医療サービスのTeladocの株式も大量に保有している。

編集=上田裕資

ForbesBrandVoice

人気記事