経済・社会

2022.08.23 16:30

非常事態! オリガルヒの浮沈ガイド


アルカディ・ローテンベルク 17億ドル



EU、英国、米国(2014年)から制裁。建設会社SGMグループの創業者。プーチンの元柔道仲間で、ソチ冬季オリンピックのインフラ、併合後のクリミアとロシア本土を結ぶ橋など、数十億ドル規模の国家プロジェクトを受注してきた。所有するサルデーニャ島の別荘やローマの高級ホテルなどの海外不動産は、2014年にイタリア当局によって凍結された。

アンドレイ・スコッチ 47億ドル



米国(2018年)、EU、英国(22年)から制裁。アリシェル・ウスマノフのビジネスパートナー。1999年からロシア連邦議会で下院議員を務める。18年、米財務省は「ロシアの組織的犯罪集団との長年のつながり」を理由に制裁した。全長99mのスーパーヨット「マダム・グー」は3月6日にドバイの港で目撃された後、自動追跡システムがオフになっている。

ヴィクトル・ヴェクセルベルク 55億ドル



米国(2018年)、英国(22年)から制裁。ウクライナ生まれ。キプロスの市民権をもつ。中規模のアルミニウム製錬所などをいくつか買収し、1996年にそれらを統合してスアルを設立。11年後、オレグ・デリパスカのルサールと合併、UCルサールを設立した。9,000万ドルのスーパーヨット「タンゴ」とA319ジェット機は、3月に米財務省に接収された。

アレクサンドル・ アブラモフ 55億ドル



ロシアの鉄鋼最大手エブラズ・グループの取締役会長。1992年にエブラズの前身となる会社を設立。1998年のロシア財政破綻後、鉄鋼会社や炭鉱を安値で買い占めた。2000年代には海外でも買収を進め、米国のクレイモント・スチール、オレゴン・スチールなどを傘下におさめた。プーチンは17年、彼の公共事業と慈善活動に対し、勲章を与えた。

イーゴリ・アルトゥシキン 18億ドル



ロシア第3位の銅生産会社であるロシアン・カッパー・カンパニー(RMK)の創業者であり、筆頭株主。ロシア正教会の重要な支援者であり、2017年にプーチンから友好勲章を授与された。ボクシングと射撃のファンで、16年にRCCボクシング・プロモーションを共同設立、試合の企画などを行う。ロンドンのマドンナ旧宅を所有している。

ウラジーミル・リトヴィネンコ 9億ドル



1994年以来、サンクトペテルブルク鉱業大学の学長を務めており、97年には当時エリツィン政権に参加していたプーチンに博士号を授与する委員会の長を務めた。リン酸肥料メーカー・フォスアグロの20%以上の株式を保有しており、本人はコンサルティングの報酬として得たと主張するが、政治的支援とロビー活動の見返りだという情報もある。

イスカンデル・マフムドフ 36億ドル



ウズベキスタン出身。ロシア国内に点在する300の鉱山会社を支配する金属コングロマリットのウラル採鉱冶金会社(UGMK)の主要オーナー。UGMKは2014年のソチオリンピックのために1億ドルをかけてアイスアリーナを建設し、大会終了後にロシア政府に譲渡した。ロシア最大の機関車・鉄道機器メーカー・トランスマッシュホールディングの株主。

ウラジーミル・ポターニン 173億ドル



世界最大のニッケル生産者であるノリルスク・ニッケルのCEO。旧ソ連の官僚で、1996年、97年にエリツィンの副首相を短期間務め、国営企業の民営化の監督で貢献した。2014年のソチ五輪ではスキー場、スノーボードパークなどの開発に25億ドルを投じた。ウクライナ侵攻を受け、20年間務めたグッゲンハイム美術館財団の理事を退任した。
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文=ジャコモ・トニーニ & ジョン・ハイアット イラストレーション=マット・チェイス 翻訳=フォーブス ジャパン編集部 編集=森 裕子

この記事は 「Forbes JAPAN No.095 2022年月7号(2022/5/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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