比較で判明!「まだ赤いお肉が新鮮だと思ってる?」
何故フードロス削減になるのか?お肉を例にとってみよう。「トレイパック」「真空パック」「スキンパック」と3つの包装されたお肉の賞味期限。これを比較した場合、トレイパックは11日目にカビが発生し、真空パックは21日目にドリップで濁ったが、スキンパックについては28日目でもクリアな状態が保たれた。
さらに、スキンパックに包まれたお肉には、熟成化が進み、肉質に旨味が加味されたという研究結果も。「お肉を買ったけど、賞味期限が過ぎて捨ててしまった」という買い手側と、売り手側の「売れ残ってしまい、破棄する」という、双方に起こるフードロスの削減に一役買うのがスキンパックのメリットだ。
「破棄する食品ロスも売上のうち」と認識されているスーパー業界。ところが、その流れをがらりと変えたのがダイエーだったという。「SDGsの意識が実感され始めたのは、2015年から。ダイエーさんがフードロスを削減しようと、真っ先に手を挙げて下さいました」と語る秦。
ところが、2017年にスキンパックの展示会を開催した時のこと。「『何だ、こりゃ?!』みたいな空気に包まれまして(笑)。人工的に見えるサンプルのような見た目に、皆、腕組みしてお互いの動向を探っている感じ」だったという。
「それが、2020年から認知度が高まってきました。現在スーパーだけでなく、食品加工メーカーにも売り込んだり、経営資源を投資して機械をレンタルしたりもしています」と、市場拡大に尽力。現在は、ダイエーとイオン系列のスーパーに導入されている。
スーパーに並んだ赤い肉色のトレイパックに対して、肉本来の黒みがかった色を成すスキンパック。色が黒みがかっているのは、スキンパックにすると酸化しないので、精肉が新鮮だからという事実は、多くの人に、まだ浸透され尽くしていないのが現状。そこで、消費者の意識改革がキーポイントとなる。
「最近では、スキンパックは良いものだと理解され始めてきましたが、それでは、実際手に取り買ってくれるのか? が今後の大きな課題。 YouTubeを活用したり、神戸ビーフなど黒毛和種牛肉の美味しさについて研究されている神戸大学農学部の上田修司先生と、スキンパック包装の可能性について相談したり。先日は、部下達から、骨付きラム肉など、バーベキューをするアウトドアに最適なのでは?と提案を受けたりしました」と、田中はあらゆる局面からスキンパックの可能性を探っている。ターゲットは、SDGsに意識の高い若者層となるのを肌で感じたという。