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2022.08.23

SDGsを牽引する「スキンパック」って何だ?

「スキンパック」って何だ?

SDGsが高まっている現在、食の未来を豊かに導く「スキンパック」がクローズアップされている。

55年間、機能性バリアフィルムで、中身を守る技術を持つ住友ベークライトと、30年以上に渡り「スキンパック」の機械普及に尽力している東京食品機械が、Forbes JAPANに語った現場の取り組みと抱えている問題点を深掘り。そこにはSDGsの未来図が見えてきた──。



フードロス削減に貢献する「スキンパック」


錠剤の薬を取り出すPTP包装(プレス・スルー・パック)のシートを日本で初めて製造し、55年間、日本の薬を守ってきた住友ベークライトと、食品包装機械最大手のドイツのムルチバック社を本社に持つ東京食品機械がタッグを組んで取り組んでいるのが「スキンパック」だ。

「スキンパック」とは、加熱したフィルムを上から被せて空気が入らないようにピタッと密着した包装方法。尖った画鋲から柔らかいお餅まで、あらゆるアイテムに活用出来る高度な技術で、海外のスーパーマーケットで売られているステーキ肉を思い浮かべると分かりやすいかもしれない。

「日本では、ハム、ソーセージ、惣菜などがスキンパックで売られていますが、精肉に関しては、トレイにラップを掛けて売るスーパーが圧倒的に多いです」と語るのは、住友ベークライト 執行役員フィルム・シート営業本部本部長の田中 厚。全ての営業部に携わっているなかでも、とりわけ食品に対する思いが強い田中は、消費者の動向を肌で観察したり、若い部下達からスキンパックを普及させるヒアリングを行ったりと、徹底的な現場主義の持ち主だ。


住友ベークライト 執行役員フィルム・シート営業本部本部長 田中厚

一方、ドイツから真空開発機を日本に導入し、加工品からチーズや卵焼きといった食品まで、真空パック、ガスパック、スキンパックといった食品の保存性を延長するパック一筋で市場に広めてきた、東京食品機械取締役会長の秦哲志。

「真空開発機は、1989年にドイツでスタートし、今、欧米では、トレイパックを見る事が出来ない位に普及しました。国内では、1991年に日本一号機を導入し、私自身30年以上スキンパックに携わってきました。ここにきて、SDGsの追い風もあり、フードロス削減に取り組める手段として、市場拡大を狙って頑張っているところです」


東京食品機械取締役会長 秦哲志
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文=中村麻美 インタビュー=谷本有香

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