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2022.08.23 07:30

アメリカン航空のパイロットが20%の賃上げを要求


アメリカン航空やその他の航空会社でも給与だけが問題ではない。パンデミックを経た今夏は航空会社の提供座席の減少、航空会社や航空管制部門の人員削減、過剰なスケジュール調整、そしてシャーロットやダラス、アトランタ、北東部での頻繁な雷雨によってパイロット勤務計画の脆弱性が露呈した。

アメリカン航空の約3000人のワイドボディ機パイロットにとって最大の問題は賃金だが、ナローボディ機パイロットは厳しいスケジュールの犠牲になっているとジッシャーはいう。

ジッシャーによると、4、5日間の出張はよくあることで、パイロットは自分の意志で勤務予定を変更することがほとんどできない。加えて、航空会社はしばしば予定を変更するという。「カオスだ」とジッシャーは話す。特に勤務予定の変更が珍しくないシャーロット行きはよくあることで「どこに行くのかわからない」という。「シャーロットでは、来たときと同じ副操縦士といっしょに帰るかどうかの割合は半々で、どの副操縦士といっしょになるかはゲームのようなものだ」とジッシャーはいう。パイロットがフライトの再割り当てを断れば、その移動にかかる代金は支払われないという。

もう1つの重要な問題は、アメリカン航空がエアバスA320ファミリーの超長距離ナローボディ機で国際線サービスを開始したとき、ナローボディ機のパイロットの給与を国際線フライト用に調整することをAPAが望んでいることだ。エアバスは同機が来年、米連邦航空局の認証を取得し、2024年に商業飛行を開始する予定だとしている。

ジッシャーは58歳で、シカゴ生まれ。12年間の空軍勤務を経て1998年にアメリカン航空に入社した。ボーイング727型機のフライトエンジニアから始まり、ボーイング737型機と767型機の副操縦士を14年、737型機の機長を8年務めている。2015年から2018年まで組合マイアミ支部の副委員長を、2021年から委員長だ。ラパスやキトの旧空港、テグシガルパなど着陸が難しい空港へのフライトもあるマイアミ便はパイロットにとって独特の課題があると語った。

最も尊敬する過去のAPAのリーダーを尋ねられたジッシャーは、ロイド・ヒルとダン・キャリーを挙げた。「ロイドは時に強引で、破産申請後の会長として大変な任務を担っていた」一方、キャリーは「大胆不敵だった」と回顧する。

7月に3年任期制の選挙が終わったが、APAは14人の候補者のうち、何人かの候補者が選挙運動メッセージを送るために組合の電子メールサーバーの使用を不適切に許可されたと組合の上訴委員会が判断し、選挙を再実施しようとしている。ジッシャーは元ダラス支部の委員長、ボブ・ベイカーに19票の差をつけて委員長に選出された。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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