キャリア・教育

2022.08.22 11:30

ハーバード・ビジネス・スクールが低所得者の授業料を全額負担

安井克至

Getty Images

8月16日、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)は経済的に困窮しているMBA学生(全学生の約10%)に対し、授業料と手数料の全額を必要に応じた奨学金として支給することを発表した。

現在のハーバード大学における2年制MBAの学費は年間7万6000ドル(約1000万円)だが、学生の約半数はHBSから必要に応じたの奨学金を受け取っており、2021〜2022年の奨学金支給額は平均4万2000ドル(約570万円)となっている。HBSは新たな支援の発表の中で、HBSの卒業生と寄付者による750以上の名前つきフェローシップのおかげで、年間のMBA学資援助予算は4500万ドル(約61億円)を超えていると述べている。

またHBSでは、すでに奨学金を受給している約50%の学生に加えて、より多くの中所得者層の学生に対して奨学金支援を強化する予定だ。

この新たな支援の拡充は、現在および将来の学生の両方に恩恵をもたらすものであり、HBSは「世界のMBAプログラムの中で最大のニーズベースの奨学金プログラム」であるとしている。

HBSは、奨学金以外にも(MBA取得前の収入と資産、社会経済的背景、学部の負債を考慮する)学資援助計算式の改訂、2019年以降の授業料の横ばい、必要に応じた出願料免除の導入など、学生のコストコントロールに取り組んでいる。

HBSのスリカント・ダタール学長は発表の中で「私たちは、才能は機会よりもはるかに均等に存在していることを知っています。ハーバード・ビジネス・スクールは、最も才能ある未来のリーダーたちが、その可能性を実現するために訪れる場所であるべきです。私たちは、彼らの前に立ちはだかる経済的な障壁を取り除き、負債の負担を軽減することで、彼らが世界に変化をもたらすリーダーになることに集中できるようにしたいと考えています」

HBSはまた、両親が大学を出ていない第一世代の大学卒業生と多様な背景を持つ志願者への働きかけを拡大している。発表によると学生、教員、スタッフからなる学生主導の社会経済的包摂タスクフォースを結成し、第一世代学生クラブを開始した。2021年、HBSは個人の財務管理に関するイベントや入学希望者および在校生を対象としたワークショップなど、財務ウェルネスに関するサービスを拡充した。

「私たちは経済的な懸念から、優れた潜在的志願者がビジネススクールの選択肢を考慮しないことがあると認識しています」と、HBSのMBAアドミッションズおよびファイナンシャル・エイド担当マネージング・ディレクターであるチャド・ロージーは述べている。「彼らが会社や地域社会に与える影響を考えると、それは彼らだけでなく、社会全体にとっての損失です。経済的に困窮している学生の授業料を全額支援することで、あらゆる社会経済的背景、産業、地域からの入学希望者がHBSでの経験を享受できるようにすることを目的としています」

ハーバードの2023年MBAクラスは1010人の学生で構成され、その46%が女性、37%が外国人だ。そのうち47%が白人、24%がアジア系アメリカ人、12%が黒人 / アフリカ系アメリカ人、11%がヒスパニック / ラテン系、4%がマルチレイシャルだった。

forbes.com 原文

翻訳=上西 雄太

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