キャリア・教育

2022.08.21 19:00

「いまのままでは変われないぞ」私をけしかけた偶然

CEOがすすめる一冊「夢をかなえるゾウ」

CEOがすすめる一冊「夢をかなえるゾウ」

各界のCEOが読むべき一冊をすすめるForbes JAPAN本誌の連載、「CEO’S BOOKSHELF」。今回は、ウエイクアップの平田淳二が「夢をかなえるゾウ」を紹介する。


本書は、何をしても三日坊主で終わってしまう会社員の主人公「僕」が、むしゃくしゃして酔っ払い、インド旅行で手に入れたヒンズー教の神の一柱であるガネーシャ像に号泣しながら、「変わりたい」と訴えるところから始まります。そして「僕」は、その神から言われた課題をこなしながら、成長していきます。

ただ、課題は「靴をキレイにする」 「トイレを掃除する」 「募金をする」 「人をほめる」など、一見すると小さなことばかり。しかし、実際に行動し、習慣化するまでやり続けることの大切さを教えてくれています。

「君は一度も笑ったことがない」。私がこう言われたのは、コンサルタント時代にコーチングを学び始めたころでした。当時の私は、一流のコンサルタントを目指し、必死で勉強していました。知識もつき、仕事の面白さも感じていた一方で、クライアントとのコミュニケーションがどうもうまくいかないなど、迷いも感じていました。

笑ったことがないと言われた瞬間、なぜでしょう、「もっと外に出て自由に生きてみたい」「普通とは違った生き方をしてみたい」といった、自分でも気づいていなかった感情があふれ出しました。

偶然とは面白いもので、時を同じくして読んだ本書が、やりたいことに一歩踏み出せない私に徹底的にダメ出しをし、「お前、いまのままでは変われないぞ」とけしかけてきました。私がプロのコーチになることを決め、独立したのはその一年後です。

コーチングは、1対1の対話を通じて、その人の内側にある答えをともに導き出していくことです。発祥の地である米国では、経営者が専属のコーチをつけるのはもはや常識。ようやく日本でもその効果が知られてきました。

私が本書を夢中で読み進めたのは、主人公である「僕」がまさに私自身だったことと、関西弁を話すゾウの姿をしたガネーシャと「僕」の軽妙なやり取りが、くすっと笑わしてくれるエンターテインメントだったこと。加えて、コーチングと同じように、ガネーシャとの対話を通じて自分が変われる可能性を感じたからかもしれません。

先日、久しぶりに本書を読みました。まだまだ経営者としての課題は多いものの、いまの自分は、とても楽しく、充実した日々を過ごしていることをあらためて感じることができました。それだけでなく、素直に、努力してきた自分を認めることもできたのです。

かなえたい夢があるのに、言い訳ばかりしてしまう。いまの自分で無理やり満足しようとしてしまう。そんな人はぜひ読んでみてください。きっと、もっと生きやすくなるはずです。

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/夢をかなえるゾウ
author/水野敬也
date/文響社 1595円/364ページ


ひらた・じゅんじ◎1972年生まれ。明治大学法学部卒業後、KPMGに入社。2004年からコーアクティブ®・コーチングの活動に注力。09年にCTIジャパンのトレーナーに就任。18年にウエイクアップに入社しコーチングの活用を提案するチームを設立。21年より代表取締役CEO。

みずの・けいや◎1976年生まれ。慶應義塾大学卒業。2003年『ウケる技術』でデビューし30万部を超えるベストセラーに。07年に『夢をかなえるゾウ』が200万部を超える大ヒットとなりドラマ化もされた。その後シリーズ化され、現在5つ目の『0 ガネーシャと夢を食べるバク』を22年に刊行。

文=内田まさみ 写真=タワラ

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