中国当局が「魚にコロナ検査」、無駄な努力に終わる可能性

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中国の各地の漁港で、水揚げされた魚に対する新型コロナウイルスの検査が行われているが、これは無駄な努力である可能性が高く、「ゼロコロナ」を目指す中国政府の行き過ぎた措置だと考えられている。

8月18日のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙によると、中国南東部の港湾都市のアモイ(厦門)市の当局は、魚の口に綿棒を入れて、ウイルスの検査をするよう漁師たちに命じたという。当局は、一部の漁師が海上での他の船舶との接触や、違法な取引でウイルスを持ち込んだため、こうした措置が必要だと主張している。

カニやエビ、魚などに綿棒を入れる職員たちの動画や写真が地元メディアに掲載され、ソーシャルメディアでも話題となったが、政府が無駄な努力を行っているとの批判も噴出している。

他の都市でも魚類に対する検査は行われており、8月にロックダウンが行われた丹東市でも、医療従事者たちが船の上で魚のコロナ検査を行ったと報じられた。3月下旬に集団感染が発生した上海では、医療従事者らが海産物市場に立ち入り、魚の検査を実施した。

魚が新型コロナウイルスに感染することは事実上不可能であり、仮に感染したとしてもそれが人間に広がることはあり得ない。魚に対するウイルス検査は、無駄な努力であり、人々の注意をそらすことにしかならない。

厳格なゼロコロナ政策をとる中国は、国際的なウイルスを抑え込むための努力の中で異端な存在となっている。中国の当局は、時にはわずかな症例のために、肛門検査を含む強制的な集団検査や、数週間にわたる都市全体のロックダウンを実施している。

新型コロナを引き起こすウイルス(SARS-CoV-2)は、中国の武漢で初めて確認され、専門家は、市場で売られていた動物から人間に感染したのはほぼ間違いないと考えている。中国政府はパンデミックの初期段階から、ウイルスの起源を独自に調査しようとする国際的な努力を妨害し、科学的根拠の乏しい主張を行ってきた。その中には、ウイルスが冷凍食品に付着して輸入されたという説や、米軍によって持ち込まれたなどの説があった。

編集=上田裕資

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