感染に気付いていなかった56%の人のうち、90%は無症状だった。残る10%の人たちは、風邪などSARS-CoV-2以外に感染したと考えていた。また、驚くことに調査を行った医療機関で働く人たちの間でも、感染に気付いた人は多くなかった(それ以外の人たちと比べれば、高い割合だった)。
カリフォルニア州ロサンゼルスにあるシダーズ・サイナイ医療センターのシュミット心臓研究所のチームが発表したのは、現在主流となっているオミクロン株の感染者が急増し始めた昨年12月15日から、今年5月4日までに成人210人から集めた血液サンプルの分析結果。サンプルの提供者の93%は、ワクチン接種を受けていた。
この調査では、感染に気付いた人は比較的若く(参加者の年齢は23〜84歳で中央値は51歳)、女性よりも男性の割合の方が高くなっていた(サンプル提供者に占める男性の割合は35%)。
研究チームは論文の中で、「症状があまり出ないこと、あるいは適切なタイミングで検査を受けていなかったことで感染に気付かなかったことが、市中感染が急速に拡大したことに関連していると考えられる」と説明している。
これまでの研究の結果、パンデミックが発生してから最初の6カ月間には、感染してもそれに気付いていなかったケースは(症状の有無にかかわらず)、感染者全体の少なくとも50%、多ければ83%に上っていたと推測されている。
新たに公表したこの結果について、論文の筆頭著者であるシュミット心臓研究所のスーザン・ チェン医師はプレスリリースで、「この調査結果が、感染者と接触した可能性がある、あるいは少し体調が悪いと感じたときにはすぐに検査を受けるという行動につながることを希望しています」と述べている。
ただ、研究チームはこの結果について、サンプル数が少ないことからデータが限られており、感染に気付く割合に関連したその他のさまざまな要因を十分には特定できていないと指摘。そうした要因をさらに明らかにするためには、より大規模な研究が必要だとしている。