30U30

2022.09.14 08:30

高専時代に偶然目にした言葉が人生を変えた。「宇宙ホテル」の建設を目指す小林稜平

Forbes JAPAN編集部
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小林稜平(ElevationSpace代表取締役CEO)

日本発「世界を変える30歳未満」の30人を選出するプロジェクト「30 UNDER 30 JAPAN」。

テクノロジー&サイエンス部門を受賞した小林稜平(24)は、東北大学発のスタートアップElevationSpaceを立ち上げた「宇宙建築起業家」だ。


小林稜平が2021年に立ち上げたElevationSpaceは、「誰もが宇宙で生活できる世界を創り、人の未来を豊かにする」をミッションとする東北大学発スタートアップだ。母体である東北大学大学院航空宇宙工学専攻の吉田・桑原研究室は15機もの人工衛星を研究開発・運用した実績をもつ。

この民間では有数の技術力をもとに、2030年代に地球の軌道上に「宇宙ホテル」を建設することを目指している。

その実現に向けて、目下取り組んでいるのが、小型宇宙利用・回収プラットフォーム(ELS-R)事業だ。重力がほぼない宇宙空間は、理想的な実験環境といわれ、創薬などで幅広い研究が行われている。しかし、現在利用されている国際宇宙ステーション(ISS)は、厳しい安全基準があり、利用国はごくわずかにとどまっているうえ、30年までに運用が終了する予定だ。

そこでELS-Rは、小型の人工衛星を使い、誰もが宇宙環境で実験などを行えるプラットフォームとして提供。打ち上げた人工衛星を安全に回収する大気圏再突入技術を23年には実証する計画となっている。

秋田高専で建築を学んでいた19歳まで「本当に普通の学生だった」という小林は、あるとき偶然目にした「宇宙建築」という単語に衝撃を受けて人生が変わった。「世界中の人が知っているような大きな建造物をつくりたい」という、元来描いていた夢を具現化するものだったからだ。

月面基地など、人類が宇宙空間で生活するための建築という壮大なスケールに心は躍り、すぐにのめり込んだ。開発中の大気圏再突入技術は、将来の宇宙建築を行うなかで、人や物資を安全に宇宙空間に輸送するために不可欠となるコア技術。

夢の実現まで道のりは長いが、「当たり前のように人類が宇宙で生活している世界を実現したい」と話す小林の目は輝いている。

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こばやし・りょうへい◎1997年、秋田県生まれ。東北大学で建築学と宇宙工学を専攻し、修士号(工学)を取得。2021年2月に東北大学発スタートアップのElevationSpaceを共同創業。

文=小谷紘友 写真=帆足宗洋(AVGVST)

この記事は 「Forbes JAPAN No.096 2022年8月号(2022/6/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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