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2022.09.07 12:00

スポーツは社会を変えられる。篠原果歩の思いを後押しした2つの出会い


IPC時代に救われた同僚の意外な言葉


大学時代に海外で大きな出逢いを得た篠原。そんな彼女をさらに変えたのがIPC職員としてドイツで働いていた時、韓国人男性の同僚にもらった「You inspire many young Asian women through what you do here」という言葉だ。

「ちょうどコロナ禍で東京大会の延期が決まった時期でした。その同僚とはそれまで話したことがなかったのに、ちゃんと見ていてくれたこと、『あなたはインスピレーションがあるんだよ、世界に出る若いアジア人女性は少ないから、すごいと思うよ』と言ってくれたことに驚きました。一人でドイツに来て仕事をして、なかなか自信が持てずにいましたが、この言葉に勇気づけられ、『次世代のロールモデルになれたら』と使命感を感じました」

飾らないドイツ人や多様なアイデンティティを持つ同僚の集まるグローバルな空間で働いたこと、日本でもいろいろな人に温かく受け入れてもらえたことで、「最近やっと自分らしくいられるようになった」と話す。

「日本にもスポーツビジネスはありますが、スポーツをツールに活用した社会貢献はまだ少ないのが現状です。今の目標は、スポーツを通じて女性や子どもにエンパワーメントすること。その人たちが何年か後に日本のスポーツや社会を引っ張っていってくれたら嬉しいですね。そのためにも、スポーツには人を変える力があることをファクトで示し、知らせてきたいと思っています」

インクルーシブな社会を目指す開拓者。その道のりは始まったばかりだ。

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しのはら・かほ◎1992年生まれ、京都府出身。筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ国際開発学修士課程修了。2018年アギトス財団の日本人初フルタイム職員になり、組織再編でIPC職員に。2021年にローレウス・スポーツ・フォー・グッド財団職員となり、「プレー・アカデミー with 大坂なおみ」国内プロジェクトマネージャーを務める。

文=吉田 渓 写真=内田和稔

この記事は 「Forbes JAPAN No.098 2022年10月号(2022/8/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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