ビジネス

2022.09.12 10:00

日本の自動車部品大手がシリコンバレーに「一軒家」を構えた理由

矢崎総業米国シリコンバレーの“TFTハウス”。筆者が現地にて撮影。


──シリコンバレー拠点が始動して一年、例えばどんな時にこの地の先進性を感じますか?
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日常生活ですと、テスラ車が多い、街中でふと新しい技術に遭遇する、といった場面でしょうか。

また、ビジネスの現場でもシリコンバレーの強みを再認識させられています。TFTハウスを通じてシリコンバレーのスタートアップと直接交わる機会が増えていますが、彼らの仕事のテンポや判断スピードが非常に早いことを痛感しています。


Yazaki North Central America, Innovation 菅原雄太氏
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──シリコンバレーの日本企業はなかなか現地コミュニティに入り込めない印象を持ちますが、TFTではどのような工夫をされていますか?

初年度はシリコンバレーに拠点を持つ日本法人を中心にネットワーキングし、なかなかローカルのエコシステムにリーチすることができませんでした。そこで次の一年は、ベイエリアでビジネスの経験があり、我々にないスキルや経験を持ったローカルスタッフを採用することで、彼/彼女が築いてきたエコシステムに入り、よりアジャイルに新規事業の創出をしたいと考えています。

──最後に、2年目に最も成し遂げたい目標や理想像があれば教えてください。

まずは、社内でTFTへの理解が得られるような評価基準や仕組み、あるいは新しい働き方を浸透させていくことを掲げています。我々のような、既に強みとしてきた事業ドメインを持つ会社では、既存の社内リソースを活用しながら同時に新たなビジネスを生んでいくことは至難の業ですから。

そうした社内体制の構築も進めながら、我々独自のブートキャンプを実現出来ればと考えています。例えば、日本側からキャンプに参加する面々がそれぞれの現場の課題を持ち込み、シリコンバレーのエコシステムを活用しながらそれらの課題解決に繋げるなど、シリコンバレー拠点が、矢崎総業のさまざまな解決し得るハブとなるようなイメージです。

この実現に向け、シリコンバレーだけに留まるものではありませんが、この地域の社会課題の解決、よりよい社会の構築の実現に向けて我々としてきちんと貢献していくことで、シリコンバレーでのYazakiの認知度と評価をさらに高められると信じています。


Yazaki North Central America TFTメンバー(パロアルト市にて)

文=熊谷伸栄

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