ビジネス

2022.09.12 10:00

日本の自動車部品大手がシリコンバレーに「一軒家」を構えた理由

矢崎総業米国シリコンバレーの“TFTハウス”。筆者が現地にて撮影。


──ちょうど1年を終えられたところですが、成果は出始めていますか?
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YNCAの執行部が、TFTのマイルストーンとして「1年間に3名のプレイヤーが3本のホームランを打つこと」を設定しています。ホームランとは、ソーシングレターや共同開発契約などいくつか定義づけられているのですが、それらを年間3件は成し遂げることがKPIです。

弊社は6月20日決算なのですが、TFTの初年度にあたる2022年6月期はマイルストーンを達成することが出来ました。


TFTハウス内に飾られた、1年間のマイルストーンが書き込まれたダルマ
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──ところで、「TFTハウス」は住居兼事務所というユニークな発想ですが、なぜこの形をとったのでしょう?

アメリカのケーブルテレビ局HBOで2014年から放映された人気ドラマシリーズ「Silicon Valley」にヒントを得ています。このドラマは、スタートアップを立ち上げる創業メンバー4人が一軒家で共同生活をしながら、次々と直面する困難を乗り越えながら成長していくというものですが、YNAの矢崎社長がこの発想をそのまま取り入れることを真剣に考え、こちら採用することとなりました。

──既存事業と新規事業を事業価値全体の向上に結び付ける上で、部門間での軋轢など、どんな苦労がありますか?

長い歴史と実績のある会社であるため、全く新しいアプローチといった“Out of the Box”的な取り組みを社内で通していくには、それなりに部門横断的な協力が必要不可欠です。

シリコンバレー側のチームが外部連携を伴う新たな取り組みを社内で通そうとする場合、我々の活動趣旨からまずは関係者にしっかりと理解をしてもらうために社内でのコミュニケーションを的確に図っていくとは欠かせません。

あわせて、関係各部署間の協力体制を構築する過程において、彼らの既存事業の業務遂行の妨げには決してならないように、我々も工夫をしながら彼らの協力を仰げるような体制構築を一つ一つ築づくことが出来なければ、シリコンバレーでの成功も困難になると考えています。
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文=熊谷伸栄

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