ビジネス

2022.09.12 10:00

日本の自動車部品大手がシリコンバレーに「一軒家」を構えた理由

矢崎総業米国シリコンバレーの“TFTハウス”。筆者が現地にて撮影。


──TFTの戦略についてお聞かせください
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我々は、大きく分けて3つの取り組みに注力しています。

1つは、「既存顧客」に「新規サービス」を提供すること。我々のクライアントである世界中の自動車メーカーは、サステナビリティや社会構造の変化、価値観の変化といった時代背景と共に大きな課題を抱えています。そうしたお客様に対して、新しいサービスや技術を提供していく必要性を感じています。これを果たすためには外部リソースも最大限に活用をすべく、TFTではシリコンバレーで複数の支援組織とお付き合いをしています。

2つ目は、「既存サービス」を「新規顧客」に売り込むこと。そして3つ目は、「新規サービス」を「新規顧客」に売り込んでいくことです。
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具体的にはLaaS(Logistics-as-a-Services)、脱炭素、次世代エネルギー、スマートシティ領域で、それらを司る未来の技術にリーチをしていく構えです。地道な活動を続け、TFTとしては今後1年間に少なくとも3つの新事業の種を蒔き、20年後には60の新しい事業を生むことを本気で目指しています。


Yazaki North Central America, Innovation William Cheng氏(左) 内田直柔氏(右) 

──TFTの具体的なお取組み方法について、お聞かせください。

現在のTFTは、YNA(Yazaki North America)のVice President of Innovationを担う支店長を筆頭に、5名体制で運営しています。各々が自らの得意分野でシリコンバレー現地のコミュニティと交流を図りながら、新しい商機を掴み取るべく日々頑張っているわけですが、YNCAとTFTが連携し、3カ月に1回、社内発表会を実施しています。

その場では、YNAの矢﨑亮輔社長と社外アドバイザー3名で構成される審査メンバーとTFTメンバーとが集まり、新しい案件のGoかNo-Goを決定するのですが、承認を得たプロジェクトに関しては具体的に着手していくこととなります。仮に1年後に何も成果が挙げられていない場合は、そのメンバーが入れ替わる人事制度を取っています。

こうして、TFTと北米執行部と常に連携することで執行部と我々現場のチームとが一体感を持って目標にむかって突き進むことができ、同時にTFTメンバーが一定の緊張感を保ち続ける環境づくりをしています。
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文=熊谷伸栄

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