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2022.08.19 07:45

株式市場の「底打ち」はあり得ない、楽観論を打ち消すデータ

Getty Images

米連邦準備制度理事会(FRB)による過度な利上げ懸念が和らぎ、インフレが落ち着いたという期待から、株式市場は驚くべき上昇を見せている。しかし、バンク・オブ・アメリカのアナリストは8月16日、弱気相場が終わるには物価と株価がまだ高すぎると警告した。

バンク・オブ・アメリカのサビタ・スブラマニアンは、16日のメモで、S&P500が今年の最安値から回復した今も、持続的な強気相場はまだ「あり得ない」と述べた。

スブラマニアンらは、金利や失業率などのさまざまな指標を追跡しているが、現状では強気相場入りの基準を満たす項目は30%に過ぎず、市場の底打ちを示す80%には遠く及ばないという。

バンク・オブ・アメリカのチームによると、消費者物価指数とS&P500の株価収益率の合計が20以上のときに終わった弱気相場は、1935年以降に一度もないという。彼らはこれを、株価が高すぎることを示す「20のルール」と呼んでおり、現在の数値は28.5とされている。

この「完璧な指標」が相場の底入れを示すのに十分な水準まで低下するためには、S&P500企業が収益予想を平均50%上回る必要があるとスブラマニアンは述べている。さらに極端なシナリオとしては、S&Pが40%以上下落して2500ポイントをつけるか、インフレ率が0%になる必要があるという。

警告を発しているのは、バンク・オブ・アメリカだけではない。モルガン・スタンレーも15日に、経済成長の鈍化を考慮すると「株式市場は強気のシナリオをまだ確認できない」と述べていた。

主要株価指数は6月に弱気相場入りしたが、インフレがついにピークに達したとの見方から、株価はその後上昇し、S&P500は年初来でわずか11%の下落にとどまっている。しかし、経済は予想に反して2四半期連続で縮小し、景気後退の危機が迫っているという懸念はまだ消えていない。第3四半期の経済成長に対する期待も、特に住宅市場のデータが予想を上回ったために低下している。

一方で、ムーディーズのアナリストは楽観的な見方を示している。「リセッションのリスクは2023年まで残り続けるが、景気後退を回避できる可能性は高い」と、同社のチーフエコノミストのマーク・ザンディは週末のメモで述べていた。彼は、雇用市場が回復力を維持していることを指摘し、最近のインフレ率の低下が「特に心強い」と述べている。

編集=上田裕資

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