経済・社会

2022.08.18 12:15

英国も異常インフレ、一般家庭の年間光熱費が「70万円」到達へ

Photo by Rasid Necati Aslim/Anadolu Agency via Getty Images

英国の統計局が8月17日に発表した7月のインフレ率は10%を超え、過去40年間で最高となった。この数字は今年後半にさらに上昇し、一般家庭にさらなる打撃を与えると中央銀行は予想している。

英政府統計局(ONS)によると、2022年7月までの1年間の英国の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で10.1%上昇し、6月の9.4%を上回った。この数値は1997年に現在の統計モデルが施行されて以降の最高値という。

ONSの推計によると、英国のインフレ率が最後に現状のレベルを上回ったのは1982年にさかのぼるという。ロシアからのエネルギー供給の削減による燃料コストの上昇が、このインフレを招いたとされている。

ONSはまた、食品価格の上昇が7月のインフレ率を急上昇させた最大の要因であり、食品および非アルコール飲料の年間インフレ率は12.7%に達したと述べている。

英国の7月のインフレ率は、G7諸国の中ではやや異常値であるように思われる。米国、カナダ、ドイツ、イタリアのインフレ率は、依然としてかなりの高水準にあるが7月には鈍化していた。しかし、フランスでは6月の5.8%から6.1%に上昇し、過去37年間で最も急激なインフレ率を記録した。

英国のインフレ率は数十年ぶりの高水準にあるが、イングランド銀行は今年後半に13%にまで上昇すると予測している。一般家庭の光熱費は、現在の上限が引き上げられる10月に大幅に上昇すると予想されている。

ロシアの天然ガス供給削減の影響


調査会社コーンウォール・インサイトが発表した予測によると、英国の平均的世帯が1年間に支払う電気とガス料金の合計は、現状の上限が引き上げられた後の2023年1月に、4266ポンド(約70万円)に達する見通しという。現在の平均的な支払額は2000ポンド弱とされている。

英国の中央銀行のイングランド銀行は、今年の最終四半期に英国が景気後退に陥ると予測しているが、8月4日にインフレ抑制のために政策金利を0.5%引き上げて1.75%にする27年ぶりの大幅な利上げを決定した。

景気後退が迫っているにもかかわらず、同銀行はインフレ率を目標の2%まで引き下げると宣言しており、エコノミストは9月にさらなる金利の引き上げが実施されると予測している。7月末のユーロ圏のインフレ率は、過去最高の8.9%に達していた。ガソリン価格の下落でインフレ率が鈍化した米国とは異なり、欧州ではロシアによる天然ガス供給の抑制が続いており、エネルギー価格の高騰の影響が続いている。

編集=上田裕資

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