テクノロジー

2022.08.21 08:30

ドイツの機械翻訳「DeepL」は文学も訳せるか? 芥川龍之介作品で試した


【4文目】
1.
その木の上の空には、あけ方の半透明な光が漂(ただよ)つて、吐息(といき)ほどの風さへない。
2.
その木の上には、夜明けの空に透けるような光が漂い、風の音もあまりしない。
3.
その木の上には、夜明けの空に透けるような光が漂い、風の音すらしない。

【5文目】
1.
やがて、兎は老人をいたわりながら、前足をあげて、海辺につないである二艘(にさう)の舟を指さした。
2.
やがて、ウサギは老人をやさしく見つめながら、前足をあげて海辺につながれた二艘の船を指差した。
3.
やがて、ウサギは老人のほうに前足をあげて、海岸につながれている2艘の船を指差した。

【6文目】
1.
舟の一つは白く、一つは墨をなすつたやうに黒い。
2.
一艘は白く、もう一艘は墨を塗ったように黒かった。
3.
一艘は白、もう一艘は墨のように黒かった。

【7文目】
1.
老人は、涙にぬれた顔をあげて、頷(うなづ)いた。
2.
老人は涙で顔を濡らしながら頷いた。
3.
老人は涙に濡れた顔を上げ、うなずいた。



『藪の中・将軍』芥川龍之介著(角川文庫・本稿で引用した「かちかち山」は本書には所収されていない)

構成=石井節子

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