ドイツの機械翻訳「DeepL」は文学も訳せるか? 芥川龍之介作品で試した

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【4文目】
1.
その木の上の空には、あけ方の半透明な光が漂(ただよ)つて、吐息(といき)ほどの風さへない。
2.
その木の上には、夜明けの空に透けるような光が漂い、風の音もあまりしない。
3.
その木の上には、夜明けの空に透けるような光が漂い、風の音すらしない。

【5文目】
1.
やがて、兎は老人をいたわりながら、前足をあげて、海辺につないである二艘(にさう)の舟を指さした。
2.
やがて、ウサギは老人をやさしく見つめながら、前足をあげて海辺につながれた二艘の船を指差した。
3.
やがて、ウサギは老人のほうに前足をあげて、海岸につながれている2艘の船を指差した。

【6文目】
1.
舟の一つは白く、一つは墨をなすつたやうに黒い。
2.
一艘は白く、もう一艘は墨を塗ったように黒かった。
3.
一艘は白、もう一艘は墨のように黒かった。

【7文目】
1.
老人は、涙にぬれた顔をあげて、頷(うなづ)いた。
2.
老人は涙で顔を濡らしながら頷いた。
3.
老人は涙に濡れた顔を上げ、うなずいた。



『藪の中・将軍』芥川龍之介著(角川文庫・本稿で引用した「かちかち山」は本書には所収されていない)

構成=石井節子

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