異文化とローカライズ 「ビジネス+文化のデザイナー」の視点

モバイルクルーズ代表取締役 / De-Tales ltd.ディレクターの安西洋之


安西:暗黙知はあるかも知れませんね。イタリアは日本よりローコンテクストでも、アングロサクソンよりはハイコンテクスト。ただ、日本は過去数十年の間、アメリカの影響を強く受けて、100%の言語化をしなければいけないと思い込んでしまっています。一方、イタリアを含めたヨーロッパ大陸の人々はそうではありません。

今の日本は、アメリカ的な考えから、ハイコンテクストカルチャーや暗黙知のデメリットばかり語られ、自分たちの文化に罪悪感を抱いていてしまっているところもあり、不自然であると同時に損しているとも感じてしまいます。

曖昧の度合いは日本とイタリアでは異なりますが、曖昧のメリットは間違いなくあります。その曖昧さをうまくビジネスにしているのはイタリアで、日本は逆に足を引っ張っていると思い込んでしまっていますね。

中道:非常に理解できます。教育につながるかも知れませんが、イタリア人はたとえ英語を話せなくても、伝えたいことや表現したいことを押し通す自信を持っていますよね。日本人も言葉の壁はあっても、言いたいことや思うことをどうにか伝えたいところです。

安西:日本人は外国語能力をよく話題にしますが、イタリアでは子供のときから人を説得させる訓練を受けているだけに、日本も言語能力よりも表現能力に問題がある気はしています。

中道:この番組でも教育はよく話題に上がりますが、そこに大きな問題や変えなければいけない何かが潜んでいるように感じますね。

文=小谷紘友 編集=鈴木奈央

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