ベッド・バス株はこの日、米東部時間の正午前に出来高が発行済み株式総数(およそ8000万株)の2倍以上にあたる1億8800万株に達するなど記録的な取引量となり、株価の乱高下が理由で数回にわたり売買が一時停止された。終値は前日比29%高の約21ドル(約2800円)だった。
急騰の発端になったのは、ベッド・バス株の10%超を保有する大株主であるコーエンが、さらに160万株超のコールオプション(買う権利)を購入したと伝わったことだ。レディットなどの交流サイト(SNS)に集まる「ミーム(はやり)株」投資家たちはこれに反応し、先を争って同社株に買いを入れた。
株式調査プラットフォーム「クイバー・クオンティタティブ」によると、ベッド・バスのティッカーシンボル「BBBY」はウォールストリートベッツのチャットルームで16日にもっとも頻繁に言及された言葉だったという。
コーエンのコールオプションの権利行使価格は60〜80ドルに設定されている。これはベッド・バスの株価がこの水準まで上がるとコーエンが見込んでいることを意味するため、個人投資家らはコーエンによる追加取得をベッド・バス株に対する「信任投票」と受け取った。
ベッド・バスをめぐっては最近も市場関係者が事業見通しに警鐘を鳴らしており、金融データ会社ファクトセットによると大半のアナリストは同社株の投資判断を「セル(売り)」で据え置いている。にもかかわらず、同社株は過去3営業日だけで80%あまりも急伸している。
B・ライリー・ファイナンシャルのアナリスト、スーザン・アンダーソンは顧客向けリポートで、ベッド・バス株は依然として「現実離れした評価額」で取引されていると指摘。ただ、ゲームストップやAMCエンターテインメントといったほかのミーム株のように株式売却で資金を調達するのであれば、最近の株価急騰はベッド・バスにとって「長期的な頼みの綱」になり得るとの見方も示している。
コーエンは、ベッド・バスの株式約10%を保有していることを今年3月に公表。コーエンから会社の変革や事業の転換を求められるなか、ベッド・バスのマーク・トリットン最高経営責任者(CEO)は6月末、業績不振の責任をとって辞任している。