米、国税職員を8万7000人増員へ 暗号資産への課税強化

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米国の国税庁に当たる内国歳入庁(IRS)が暗号資産(仮想通貨)への課税を強化し、取引の未申告や申告不備に対する取り締まりを強めているのは、よく知られていることだ。

米国で16日に成立した「インフレ抑制法」により、IRSは今後10年間で約800億ドル(約10兆7000億円)の追加予算が割り当てられることになる。ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、これによりIRSが「野獣モード」に入ると指摘した。IRSはこの追加予算を、税務執行の強化、業務改善、納税者向けサービス、システムの最新化に充てる。

追加予算は、現在の年間予算である126億ドル(約1兆7000億円)の6倍以上に当たる。新法では、うち456億ドル(約6兆1000億円)を税務執行に充てることが定められている。民主党政権はIRSに対し、税金をより多く、厳格かつ迅速に徴収するよう指示。報道によると、IRSは職員を8万7000人増員する予定だ。

暗号資産への課税強化に投じられる額は定められていないが、新法には「デジタル資産の監視とコンプライアンス活動」を進めるという曖昧な記述がある。これには監査や徴収、さらにはもっと厳しい措置が含まれるかもしれない。

IRSはまた、確定申告の書式を変更する予定だ。2021年版申告書の冒頭には既に仮想通貨に関する質問が設けられていたが、それは「2021年度内に、何らかの仮想通貨の受け取り、売却、交換、あるいは処分を行いましたか?」という当たり障りのない内容で、仮想通貨を所有しているものの取引を行わなかった人は「いいえ」にチェックすればよかった。

2022年版ではこの質問が強化される見通しだ。IRSの草案では、以下のようになっている。「2022年内に、デジタル資産(あるいはデジタル資産に対する利権)を(a)(報酬、賞金、対価として)受け取ったり、(b)売却、交換、贈与、あるいは処分したりしましたか?」

この変更により、対象者は拡大することになる。IRSは今後、暗号資産に関する監査や、取引や保有者の監視を強化し、コンプライアンス全般に対してより大きな予算を割くようになるかもしれない。

編集=遠藤宗生

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