こう話すのは、ファッション系YouTuberとして知られる「げんじ」こと古賀げんじ。次世代を担う「30才未満の30人」を選出する「30 UNDER 30 JAPAN」で、リテール&コマース部門の受賞者として選ばれた。
げんじが運営するYouTubeのチャンネル登録数は75万人、総再生回数は2億8000万回に近い。TikTok やInstagram、ZOZOのコーディネート投稿アプリWEARを含むSNSの総フォロワー数は230万人を超え(2022年8月時点)ており、ファッション系インフルエンサーとして絶大な人気を誇っている。
その影響力を生かして、2017年4月にMODERN TIMESを起業し、D2C型アパレルブランド「LIDNM(リドム)」を立ち上げた。売上高30億円の達成も視野に入れる敏腕起業家でもある。
原点はお笑い芸人
YouTuberとしての魅力のひとつに、流暢で説得力があり、親しみやすさを感じさせる話し方がある。それは、彼がお笑い芸人出身だということも関係しているだろう。
「高校生のころ、卒業後の進路を考えていたとき、『なんでこんなに暗いニュースが多いのだろう』と思って。世の中を少しでも明るくして、笑い声や笑顔を増やしたいと思い、お笑いの道に進みました」
ワタナベエンターテインメントのコメディスクールでは同期にフワちゃんや土佐兄弟がおり、切磋琢磨した仲間だった。自身が組んだ相方は、“違和感や意外性を創出したくて”年齢が2倍近く上の人だった。ただ、何度舞台に立っても、客席から笑い声が湧く日は少なくうまくいかなかった。
その後“解散”の道を選び、ピン芸人に。ある時ふと思いついて、ZOZOのコーディネート投稿アプリ「WEAR」にお気に入りのライダース姿を投稿したところ、想像以上に反響があった。
「その時、ファッションで悪いニュースを減らしたい、という新しい夢を見つけました」
カジュアルとキレイ目の“中和”理論が誕生
WEARには、たくさんのオシャレな人や、高価な、あるいは人気のファッションブランドを身に着けている人もいる。さらには、本職のアパレルスタッフの投稿もたくさんある。そんな中でなぜ、げんじの投稿が支持されたのだろうか。
「当時のWEARは、自己承認欲求のために投稿している人が多かったけれど、僕は、大真面目に誰かの人生を変えるような有益な情報を届けたいと思っていました。その違いをフォロワーの方々が理解してくれて、人気や影響力が膨れ上がっていったのだと思います」