変化をチャンスに 発想の転換が不確実性を克服する力になる

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厄介な健康診断の結果を受けたと想像してほしい。突然、予定していたのとは違う生活に直面することになる。治療で日常生活が乱れる。以前のようにエネルギーも感じられないだろう。長年続けてきた仕事も続けられなくなるかもしれない。

このような状況でも、新たな挑戦に意気揚々と取り組む人もいる。彼らは治療を行い、変化をもたらし、新しい現実に適応していくのだ。一方、これまで慣れ親しんできた生活を崩したくないために、診断結果を否定し、病気と闘おうとはしない人もいる。そんな彼らは自分が納得できる現状を維持しているつもりで、そのままの状態を続けているのだ。しかし、病気はすでにその現状を変えつつあることに気づいていない。新しい現実をかたちづくる機会を自ら得るのではなく、現実に起きていることを受け入れず、向き合わず、適応しないことで、自分の未来に対する影響力を放棄している。

これは、私たちが今日、ビジネスにおいて直面していることだ。社会全体が「永遠の不確実性」という診断を受けているのだ。

予測不可能なことは、常に私たちの世界の構造であった。しかし、現在は変化のペースがあまりにも速く、組織がそれについて行くことはますます難しくなっている。この加速する不安定性により、私たちはビジネスのあらゆる側面に影響を与えうる新たなリスクにさらされているのだ。これらのリスクは、しばしば予測することが不可能であるため、発生したときのダメージはより大きくなる。

このように急速に変化する環境の中で成功するためには、組織は俊敏性と適応性を備え、新たなリスクをすばやく特定し、それに対応する能力を持つ必要がある。そうしてこそ、常に変化し続ける世界の一歩先を行くことができるのだ。

不確実性の克服と発想の転換を学ぶ


不健康な生活習慣と同じように、私たちは過去にこのことについて警告を受けている。そして、私たちの不作為によって、対処可能だった状況を緊急の危機に変えてしまうのだ。それを否定し、慣れ親しんだ現状を維持しようとすれば、自分自身の未来をコントロールできなくなる。

しかし、目の前にあるチャンスを認識し、この新しい現実に適応すれば、あなたの組織を適応できる組織に進化させることができるのだ。何が起こるかを正確に予測する必要はない。しかし、適応し、進化する能力は必要だ。

1つだけ確かなことは、力の均衡が従来の組織から個人の手に移りつつあるということだ。RBCキャピタルマーケッツはこれを「個人革命」と呼び「世界経済のあらゆる側面で新しい世界秩序を生み出し、既存の権力中枢に対する唯一最大の破壊的な力になる可能性が高い」と述べている。

この真実を無視するならば、肺がんと診断されたにもかかわらず、禁煙を拒否するようなものだ。

ほとんどの人は、変化を脅威とみなしているのだ。しかし、変化をチャンスととらえることができる人になろう。

翻訳=Akihito Mizukoshi

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