渡辺創太
27歳
Web3起業家、ステイクテクノロジーズCEO、Astar Networkファウンダー
2022年最大のテーマである次世代の分散型インターネット「Web3」。日本を代表するWeb3起業家として業界の最先端で奮闘する、渡辺創太が描く未来。
「3年後に会社を清算することが目標」
創業3年目にして、開発を主導するパブリックブロックチェーン「Astar Network」の独自トークン「ASTR」の時価総額が一時2000億円を超えたステイクテクノロジーズ。さらなる拡大を目指すのかと思いきや、創業者の渡辺創太は意外な目標を語った。
真意を理解するには、同社が取り組む事業について知る必要がある。現在、世界には100〜200種類のブロックチェーンが存在する。それらは独立して分散しているため、例えば、ユーザーがあるチェーン上で保有するNFT(非代替性トークン)をほかのチェーンで使おうとすると、データのやり取りに多大なコストや時間がかかる。同社のAstar Networkは、こうした分散するチェーンをトラストレスに接続し、スマートコントラクト(契約の自動化)プラットフォームとして機能する。
2021年12月、Astar Networkは異なるチェーンを相互運用するプロジェクト「ポルカドット」のネットワークに接続する枠を獲得。同社はプロダクト開発者にベーシックインカムを支払う仕組みなどで差別化を図っており、支持されれば、有力チェーンのなかでも頭ひとつ抜け出す可能性がある。全体に強い影響力をもつプラットフォーマーになる──。実はこれはWeb3の思想に必ずしも合致しない。Web2ではGAFAMがデータを独占的に所有し、もつ者ともたざる者の格差が生まれた。Web3はその反省から生まれ、ユーザーが自分でデータの所有と検証ができる民主的な世界観をもつ。ブロックチェーンはそれを実現する技術だが、特定者が寡占的になれば、新たな“王”が生まれるだけだ。
「だから会社をつぶすんです。AstarNetworkはコミュニティにいる数万の人たちが協力して支えるネットワークで、会社がなくても回ります。会社が大きくなると、発言権が強くなりすぎて逆によくない。最終的にはDAO(分散型自律組織)にして、僕はコントリビューターとして貢献したい」