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2022.08.24

NCT 127 ユウタ 世界を熱狂させるK-POPスターの原点

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このように韓国のエンタメが世界進出に積極的であることの背景には、1997年のアジア通貨危機(IMF危機)で、韓国経済が麻痺状態に陥ったことに対する「反省」があるといわれている。コンテンツ産業に限らず、サムスンをはじめとした製造業など、すべての産業が韓国の外に目を向け始めた。こうした産業構造の転換が、エンタメの世界でも結果として目に見えてきたのだ。

韓国コンテンツ振興院は、21年のコンテンツ輸出額は5年前の倍の115億ドル(約1兆3000億円)に達すると発表している。日本の令和4年版の情報通信白書によると、20年のコンテンツ輸出額は571.1億円で、その差は歴然である。

「帰ってくるな」と発破をかけられて


躍進を続ける韓国エンタメ界に、12年、ユウタは16歳で飛び込んだ。彼が韓国を目指したのは、テレビで目にした「東方神起」のパフォーマンスがきっかけだったと言う。

「完成されたダンスと歌に衝撃を受けて、こんなふうに何かを届けられる人になりたいって、初めて思ったんです」


ニット148,500円、パンツ132,000円、ネックレス146,300円(ルイ・ヴィトン/ルイ・ヴィトン クライアントサービス 0120-00-1854)

大阪の下町に生まれ育ったユウタは「周りと同じ価値観じゃなくてもいいじゃん」と、緑色のランドセルを背負って小学校に通い、サッカーに明け暮れる少年時代を送っていた。

「父親からは、やるんだったらとことんやれ、一度決めたことから逃げるなと言われて育ちました。いまでこそ、しんどかったら立ち止まっていいという世の中だけど、何があっても負けないという精神力は、父に培われたのかもしれません」

16歳のとき、一大決心をしてオーディションを受ける。挑戦したのは、東方神起も所属する韓国芸能事務所の最大手、SMエンタテインメントが日本で開催したグローバルオーディション。もし合格すれば日本を離れることになるので、父母には言えなかった。

歌もダンスも未経験で、自信もなかった。だがユウタは、見事合格。韓国に行って練習生になることを両親に告げたのは、渡韓する直前のことだった。決断を聞いた父は、涙を見せながらも、日頃から言い続けてきた言葉で息子を送り出した。

「やるならとことんやれ。韓国に行くなら、帰ってこないつもりで頑張りなさい」

ユウタは、日本人として当時数少ないSMエンタテインメントの練習生となった。その倍率は公式には発表されていないが、毎年、世界で数十万人の若者がオーディションを受けているという。
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文=西森路代 写真=帆足宗洋(AVGVST) スタイリング=堀口和貢 ヘアメイク=ヒョウ

この記事は 「Forbes JAPAN No.098 2022年10月号(2022/8/24発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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