いままでは、日本産米の小売店店頭価格はアメリカ産米の2倍以上(2020年4月時点・JETRO(日本貿易振興機構))と割高で、日本産米を使っているのは一部の店に限られていた。しかし、カリフォルニア産ジャポニカ米と日本産米との価格差が縮まってきていることが追い風となっているようだ。ニューヨークではこの風向きを「チャンス」と捉えて官民が連携して日本産米の普及に尽力している。
そのキーアイテムは、日本のファストフードとも言える「ONIGIRI(おにぎり・おむすび)」と、日本でも需要が増加している「PACKED RICE(パックご飯)」だ。
価格競争力が高まる日本産米
「アメリカのライス市場で日本産米の販路を拡大していくためには、今がチャンス」。在ニューヨーク総領事館・経済部長の仲村祥(なかむら・しょう)が意気込む理由は、ジャポニカ米の産地であるカリフォルニア州の干ばつによって、日本産米の価格競争力が上がっているためだ。
アメリカ農務省(USDA)の発表によると、カリフォルニア州では2022年/2023年期(2022年8月~2023年7月)は、前年から2年連続で規模縮小が見込まれ、38年ぶりの最小面積が予想されている。収量の減少もあいまって、ジャポニカ米の生産量は前年期比11%減の約190万トン減少と、34年ぶりの最低量となる見通しだ。
JETROの調査では、カリフォルニア南部の日系スーパーではカリフォルニア産ジャポニカ米の店頭価格が2021年1月から2022年5月までの間で35%以上高騰した商品もあった。また、値段を変えないままサイズダウンして販売されていた米も多かったという。
「カリフォルニア米の供給量が落ちることで価格は上がっているため、日本産米との価格差は埋まってきている」(仲村)というわけだ。