ビジネス

2022.08.18 14:30

アフターピルが飲める「島」? レイプ被害者を救う奇想天外なアイデア


200万人分の署名が集まり、政府にも動き


仕事をしていると、一見八方塞がりに見える案件に出会うことも少なくない。こちらを立てればあちらが立たず、本来なら変更されるべきルールの壁も立ちはだかる、といったケースだ。それでも目的があるのなら、なんとか“抜け道”を探し出して実行するしかない。

「抜け道を探す」という行為は、筆者の経験からしても、広告ビジネスの世界では広く行われている。もちろんそうしたやり方は、アイデアを思いつくのはもちろん、実行に移すのも簡単ではない。Morning After Islandの例でも、当該分野に詳しい法律専門家に相談しつつ実行したという。

今回、GE PAEの目的は、Morning After Islandプロジェクトを通じて多くのメディアに取り上げられ、世界にホンジュラスの現状を知らしめることだった。署名を多く集めて、ホンジュラス政府に対して規制法撤廃へのプレッシャーをかけようとしていた。

そのため、この“島”を訪れて緊急避妊薬を服用する女性たちを撮影し、短い動画に編集して、ネット上で公開した。結果としてこうした活動は大きな注目を浴び、14カ国112のメディアに取り上げられ、1億8000万人が視聴。3000万ドル相当のメディア露出を得ることができた。そして、ホンジュラスにおける緊急避妊薬の規制撤廃を求める署名は、200万人分も集まった。

結果、規制法撤廃についてのオフィシャルな議論を拒んできた政府を動かすことになる。2022年3月8日、ホンジュラス大統領は規制法撤廃派のメンバーと公式に対話を行い、緊急避妊薬の服用を可能にする新しい法律の制定を約束したのだ。

この事例のように、悩んだときにはなんらかの“抜け道”を探し出そうと考えることも、有効かもしれない。もちろん、そのアイデアを実行に移す際には、細心の注意と強い意志を持って、しっかりとやり遂げることが必要になるが……。

文=佐藤達郎

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