7月のオンライン物価が下落、25カ月の連続上昇にピリオド

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8月9日(米国時間)にアドビが発表したアドビデジタル物価指数リポートによると、7月のeコマース物価は、前年同月比で1%下落した。パンデミック以来2年以上続いてきたオンライン物価の高騰が終焉を迎えつつあるかもしれない、初めての兆候だ。

アドビデジタル物価指数は、Adobe Analyticsを利用して、18の製品カテゴリーにおける1兆回の小売サイトへの訪問と、1億個以上のSKU(最小管理単位)を分析している

月次ベースでは、7月のデジタル物価は前月比2%減だった。前年同月比で最も下落したのは電子機器で、9.3%減だ。この指数で追跡している18の製品カテゴリーのうち、14の製品カテゴリーで、7月に前月比で価格が下落した。

アドビのアナリストによると、これまでオンライン物価は毎年一貫して低下してきたが、パンデミック中にはオンライン支出が劇的に増加したことを受け、この通常のパターンが著しく逆転していたという。

2015年から2019年のあいだに、eコマース物価は毎年平均3.9%下落し、典型的には4~5%減となっていた。パンデミック前の最後の比較対象である2019年には、オンライン物価は前年比5.2%減少したと、アドビは2021年7月に報告している。

パンデミック時において、消費者のオンライン支出は、「欲しいもの」から、食料品などの「必要なもの」にシフトした。それに従ってeコマース物価は、需要の増加を反映するものとなり、販促活動についてはあまり反映されないものになっていた。

オンラインの食料品価格は、記録的な上昇を続けている。食料品は7月に前年比13.4%増、前月比1.4%増となり、7月の全カテゴリーで最大の伸びを記録した。

アドビのグロース・マーケティングおよびインサイト担当バイスプレジデントを務めるパトリック・ブラウンは、7月に起きたデフレの原因を「消費意欲の揺らぎと支出の後退、および一部の小売業者の供給過剰」としている。

電子機器やアパレルなどのカテゴリーで価格が下がったことは、「オンラインでも実店舗でも、食費が上がり続けるなか、消費者にとって少し安心できる材料だ」とブラウン氏は述べる。
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翻訳=ガリレオ

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