Hacker Newsで2015年に最もアップボートされた投稿は2228件、2017年に最もアップボートされた投稿は4107件だった。時間が経つにつれて、ほとんどのオンラインコミュニティは着実に成長するが、どこのコミュニティでも近接誤差が生じる。古いコンテンツにアップボートする新しいユーザーは限られているからだ。
このため、アップボートの真価は変動する。プラットフォームが多くのユーザーを獲得すればするほど投票は集めやすくなるが、そのぶん1票あたりの価値は低下する。
単にプラットフォームの生スコアを取るだけでは近接誤差が生じてしまい、最高品質のウェブサイトを見分けることができなくなる。
インフレを調整するために、長期にわたる同条件の「財のバスケット」の価値を比較してみる。私たちが行った単純な計算によれば、「財のバスケット」はその年最もアップボートされた投稿のトップ50の中に入っていた。今年はまだ終わっていないので、前年を基準として、すべてを2021ポイントに換算している。
参考までに、Blog SurfディレクトリにあるブログのHacker Newsでのインフレのグラフを示しておく[7].。
2.4 通貨換算
インフレ調整後、すべてをプラットフォームごとに2021ポイントに換算したが、ここでもまた問題が発生した。ポイントはすべて異なるプラットフォームに対するものだ。Twitterの「いいね!」は、Hacker Newsのアップボート(Share this)どれくらいに相当するのだろう?
すべてのものをひとつの通貨で表示しないと、意味のある比較はできない。どの通貨を選んでも同じだから、今回はRedditのアップボートを使用する。
すべてのプラットフォームでインフレ調整をしたので、実際にはすべてを2021年のRedditアップボートに換算している。
われわれの単純な通貨換算は、先ほどの単純なインフレ調整とまったく同じように機能する。異なるプラットフォーム間で、類似の「財のバスケット」コストを比較してみよう。この場合、「財のバスケット」は、インフレの計算と同様に、ひとつのプラットフォームにおけるインフレ調整済みのトップ50のウェブサイトの平均とする。
プラットフォーム間の「財のバスケット」の価値の比率は以下のようになる。
2.5 GDP
これでようやく、任意のプラットフォームと任意の年のスコアを比較する際に使える値ができた。さらに、ドメインによって生成されたすべてのウェブページの合計値を加算することで、ドメインの「GDP」を計算できる。
各ウェブページを1回だけカウントし、ひとつのウェブページに複数の値がある場合は、そのページが受け取った最も高い値を選択する。こうするのは、平均化されたオンラインコミュニティであれば、検知漏れはたくさんあるかもしれないが、誤検知はきわめて少ないと考えられるからだ。
ドメインが生み出したすべての価値の総和を求めれば、そのドメインのランキングを導き出せる。
ここでは、Blog Surfディレクトリの上位10ドメインをGDPでランキングしたサンプルを紹介する。