ビジネス

2022.08.17

異色の日米タッグ、日本発オンライン動画「Narō」とは?

英語圏向けに日本の「達人」たちを紹介していくオンライン動画ストリーミングプラットフォーム「Narō」が今年7月に立ち上がった。

そのプラットフォームを率いるのは、2年前に来日、現在も東京に居を構えるトッド・シルバーステイン。ヤフーUSAに売却成功した「Vizify」など3社を立ち上げた連続起業家で、ハリウッド、エミー賞受賞テレビ番組「シリコンバレー」の顧問プロデューサーとして、エンターテインメント分野でもキャリアを持つ。



そんなトッドがビジネスパートナーに選んだのが、「ビジネス+クリエイティブ+テクノロジー」を基軸にプロデューサー活動を展開するHEART CATCH西村真里子だ。



二人を中心にグローバルチームで展開するNarōが、エンターテインメント性豊かな映像とAI/マシンラーニングを活用した多言語配信機能を駆使し、いかに日本の「達人」「匠の技」「伝統」を世界へ向けて発信するのか。

また、詩人にして日本の俳句愛好家でもあるトッドから見える、日本文化の妙とは──?

─そもそも、Narōという社名はどんな意味があるのですか?

西村真里子(以降:西村):「Narō」の社名は「〜になろう」をもじって決めました。Narōが提供するコンテンツを見てなりたい自分になろう!というメッセージを込めています。それぞれの道の「達人」を紹介しながら、日本文化の神髄に触れ、その奥行を感じてもらう旅への誘い(いざない)をミッションに掲げてネーミングしました。



─その第一弾として、ミシュラン二つ星を獲得した「天風良にい留」のシェフ、新留修司氏による「天ぷら作り」の極意を紹介する動画をリリースされました。反応は?

トッド・シルバーステイン(以降:トッド):それが嬉しいことに、アメリカ人の顧客から沢山の素晴らしいコメントが寄せられているんです。

たとえば、「このコースは新留先生の天ぷらへのこだわりを示すラブレターで、『天ぷらは単なる揚げ物』という今まで持っていた考えを根底から覆させられたような気がします」。

「一つ一つの心を込めた食材選び、料理の盛り付け、そして感謝を込めて食事を味わうという全てのプロセスを通して『食材の命』への思いやりを含め、ゆったりとした空間を楽しむことがどんなに大切か」「この教訓は料理に限らず、これからの自分の料理、さらには人生にも活かすことができるのではないか」というような嬉しい反応がありました。



新留先生に、天ぷらメソッドやテクニックを英語圏の人にも理解できるように深く掘り下げた結果だと喜んでおります。今後も他では手に入らないプレミアコンテンツを提供していきたく考えております。

─今後の「Narō」の挑戦について、どんな「青写真」を描いているのでしょう?

西村:概要ではありますが、4つの挑戦を軸にこれからのビジネス展開を図っていきたいと思っています。

まず第一に「オンライン教育が当たり前のものとなり、アクティブ・ラーニングなどの手法が注目される教育分野への挑戦」、そして第二に日本語で発信する「達人」のメッセージをAI機械学習で多言語化するテクノロジー分野への挑戦、三番目は一方通行の消費型娯楽への対抗馬となる「インタラクティブ型教育娯楽(エデュテインメント)」への挑戦、そして最後の4番目は日本文化の奥行を通して日本の存在、さらには今後の日本の立ち位置を世界に示すことです。

一番目と三番目には、先生方にご登場いただきライブQAや受講者同士がつながる仕掛け、更にもっと踏み込んで「憧れの職業に近づくためのコンテスト」も企画しております。


次ページ > 詩人として、日本への関心

文=賀陽輝代 写真=藤井さおり

ForbesBrandVoice

人気記事