彼らはTikTokの動画をバイラルで拡散させて、この結果を生み出したわけだが、その動画はユーモラスな熊が踊ったり、有名人が関与するものではなかった。チリ・パイパー(Chili Piper)というスタートアップは、従業員たちが登場するビデオにBGMをつけて、シンプルな告知を行っただけだったのだ。
「私たちのTikTokのムービーは、リモートワークの利点をアピールする内容だったが、このような企業が珍しかったせいか、想像以上に世間の注目を集めることになった」と、チリ・パイパーの共同創業者でCEOのアリーナ・ヴァンデンベルヘ(Alina Vandenberghe)は話す。
「私たちは職場のダイバーシティを動画でアピールした。仕事を探している人たちは、自分と似た人が、楽しそうに働いている姿を見たいと思うものだ」
https://www.tiktok.com/@chili.piper/video/7063184138102394158?_t=8SaVgN5MjiF&_r=1
チリ・パイパーのチームは、動画のコメント欄にも注意を払い、ユーザーの投稿に返事を返し、リンクを送ることでエンゲージメントを高めていった。すると、一部の動画は再生回数が20万回を突破し、キャンペーン全体のインプレッションは130万回以上を記録したという。その結果、1週間で500件近くの応募を獲得し、合計で7500件の応募をTikTokのムービーで獲得したという。
このキャンペーンの成功の秘密は、作り込んだムービーではなく、社員たちの素顔を収めたオーセンティックなコンテンツを投稿したことにあるとヴァンデンベルヘは述べている。
「手の込んだ、洗練されたコンテンツは、リアルではないと受け取られる場合も多い。私たちは特別な機材を使わずに手元のスマホで動画を撮影し、社員たちの本当の姿を伝えることにした。大事なのは、楽しくてくだらない要素を盛り込むことだと考えた」
このキャンペーンが、単に会社の認知度の向上につながっただけではない点が興味深い。彼らは、ITセキュリティの社員も含めて、最近入社した多くのメンバーの採用に成功したのだ。
チリ・パイパーの幹部の半数は女性が占めており、それをうまくアピールできたこともキャンペーンの成功につながったとヴァンデンベルヘ述べている。彼らは現在もなお、新たな応募者の選考を進めているところで、もしかしたら彼らのうちの何人かが、また新たなTikTokの動画に登場することになるかもしれない。