次世代のGoogleは、ボックスに検索語を入れると関連するリンクを表示するだけのものであってはならない。これまでとはちがう、新しい発想が必要だ。ここ数年で複数のグループが同じ結論に達し、次世代検索エンジンの開発に取り組みはじめた。
DuckDuckGo(ダックダックゴー)やBing(ビング)はGoogleより劣る検索エンジンにすぎず、とても代わりにはなりえない。
次世代検索エンジンにとって不可欠な要素はプライヴァシーの保護であり、目障りな広告が表示されるのは論外だ。しかし、共通しているのはその点だけで、検索エンジンが向かう方向は開発者によって大きく異なる。
カスタマイズ可能な検索エンジン〈Kagi〉
検索エンジンのUIや機能は人によって好みが分かれるはずなのに、なぜ誰もが同じ体験をしなければならないのか?
Kagiはかつてないカスタマイズ性を備えた検索エンジンだ。画面の見え方など表面的なことから、検索結果のランキングに至るまで、あらゆるレベルで、「ユーザーの好みに合わせて」変更できる。
「検索エンジンの見栄えや使い勝手の好みは人によってそれぞれだ。平均的なユーザーに合わせて平均的な検索エンジンをつくるのではなく、ユーザーが選べるようにすることを目的としている。なぜなら、"平均的な人"などいないのだから」─Kagi創設者、ウラジーミル・プレロヴァチ
見た目(UI)のカスタマイズ
ビジュアル面では見た目のあらゆる部分を変更できる。自分でCSS作成して適用することも可能だ。検索動作のカスタマイズ
さらに、検索エンジンの動作そのものもカスタマイズできる。検索候補は必要か?スニペット(検索結果のリンクの下に表示されるリンク先のページの概要)にはどこまで詳細を表示するか? などお好み次第だ。
さらに「インスタント・アンサー」、「インライン・ディスカッション」、「リスティクル」などのウィジェットも自由に切り替えられる。ウィジェットは特定の検索結果をグループ化したもので、それぞれの検索結果を結果ページに表示するかどうかを選択できる。例えば、今後一切、リスティクル(複数の項目を箇条書きにまとめた形式の記事)を見たくない場合は、ウィジェットで「リスティクルをオフ」にすればいい。
それだけでなく、個々のウェブサイトのレベルまでカスタマイズが可能だ。ドメインのランキングを独自に作成し、Kagiに指示することで、どのウェブサイトを上位に表示させ、どれを下位にするかを決められる。
二度と見たくないサイト(例えばPinterest)を完全にブロックしたり、常に上位に表示させたいサイトをピン留めしたりすることもできる。
「iPhoneのホーム画面は誰ひとりとして同じではない。検索エンジンは生活するうえで欠かせないものであり、同じように変えられるべきだ。これほど使用頻度が高いのに、ほとんどカスタマイズできないなんて驚きだ」─Kagi創設者、ウラジーミル・プレロヴァチ
レンズ(フィルタ)作成
Kagiでは、レンズと呼ばれるフィルタを作成することもできる。レンズを使うことで、特定のサイトを検索結果に含めず除外することも可能だ。それだけでなく、複数のレンズをオンにして、すべてのフィルタに合致する結果だけを表示することもできる。Kagiには「ディスカッション」「プログラミングのヒント」「レシピ」などのレンズがあらかじめ用意されている。
商用目的以外の検索結果
Kagiが力を入れていることのひとつに商用目的以外の検索結果の提供がある。Kagiは非営利の全ウェブサイトのインデックスを持っており、別途Teclisとして利用できる。その結果、Googleをはじめ、ほかのサイトでは見つけられない結果を得ることができる。例えば“スティーブ・ジョブス”で検索すると、上位の検索結果はGoogleと同様にジョブスについての情報が占めているが、そのすぐあとに“気になる結果”という欄があり、スティーブ・ジョブスの日本滞在中の様子が書かれたデレク・シヴァーズのブログなどGoogleでは見つけられない興味深いサイトを発見できる。